年商3000万円を超えるための、ヒトの使い方
目次
経営組織論は、すべての中小企業にそのまま適用できるものではない
生成AIを使えば、人事制度は簡単に作れる。しかし、それで会社が良くなるわけではない
社員6名程度までなら、複雑な評価制度より「社長による直接評価」を活かす
生成AIは、少人数会社の社員評価を「標準化する補助者」として使う
社員6名を超える頃から、「社長が全員を見る会社」から少しずつ脱却する
社員6名から9名程度では、「管理職」より先に「リーダー」を育てる
社員10人前後から、人事管理を「社長の頭の中」から会社の仕組みへ移していく
人事評価で最初に決めるべきなのは、「何を評価するか」ではない
経営組織論は、すべての中小企業にそのまま適用できるものではない
経営コンサルタントとして、年商数千万円から数億円規模のオーナー経営者の方から御相談を受けていると、会社の成長とともに、必ずといってよいほど出てくる課題があります。
それが、
「社員を、どのように評価し、育て、組織として管理すればよいのか」
という問題です。
創業直後の会社では、
社長。
社員数名。
外部のパートナー。
という小さな組織で事業を運営できます。
社員が何をしているのか。
誰がどの仕事を得意としているのか。
誰が成果を出しているのか。
誰に何を任せられるのか。
を、社長自身が直接把握できます。
しかし、会社が成長し、社員数が増えてくると、この方法だけでは組織を管理できなくなります。
そこで経営者は、
就業規則。
職務分掌。
人事評価制度。
等級制度。
目標管理制度。
1on1。
管理職制度。
などを導入しようとします。
ところが、ここで大きな問題が起きます。
社員がまだ数名しかいない会社へ、数百人・数千人規模の企業で使われるような複雑な制度を持ち込んでしまうのです。
すると、
評価シートを作る。
目標を入力する。
評価者が採点する。
面談する。
評価会議を開く。
等級を判定する。
という作業ばかりが増えます。
しかし、その制度が、
社員を成長させる。
業績を上げる。
社長のマネジメント負担を減らす。
という本来の目的につながっていない。
そんな会社を、僕は何度も見てきました。
人事制度の目的は、「立派な制度を持つこと」ではありません。
社員が何を期待されているのかを理解し、成長し、会社の成果につながる状態を作ることです。
生成AIを使えば、人事制度は簡単に作れる。しかし、それで会社が良くなるわけではない
現在では、生成AIを使えば、
「社員10人の会社向け評価制度を作ってください」
と入力するだけで、
評価項目。
評価シート。
職務定義書。
面談シート。
目標管理表。
業務マニュアル。
まで、短時間で作ることができます。
これは非常に便利です。
しかし、ここに新しい問題があります。
「作れること」と、「自社で機能すること」は違う。
ということです。
生成AIは、一般的な人事管理の知識を整理することには非常に優れています。
しかし、
御社がどこを目指しているのか。
社長が社員へ何を求めているのか。
現在の社員がどこまで自律して働けるのか。
管理職が存在するのか。
社員一人ひとりにどの程度の裁量を与えるのか。
今後どのような組織へ成長させたいのか。
という経営判断を、AIが代わりに決めてくれるわけではありません。
したがって、
社長が経営方針を決める。
↓
その方針から、社員に期待する役割を決める。
↓
必要な評価項目・業務ルールを決める。
↓
生成AIを使って文書化・標準化を支援する。
という順番にすることが重要です。
AIから制度を始めてはいけません。
経営から制度を作り、その作業をAIに支援させるのです。
会社の成長段階に応じて、組織体制も変えなければならない
経営者の中には、とても勉強熱心な方がいらっしゃいます。
経営書を読む。
セミナーへ参加する。
有名企業の制度を研究する。
そして、
「この会社で成功しているのだから、うちでも導入しよう」
と考えます。
しかし、ここで注意が必要です。
従業員5人の会社。
従業員50人の会社。
従業員5000人の会社。
では、必要なマネジメントの仕組みが違います。
会社が小さいときの最大の強みは、
経営者と社員の距離が近いこと
です。
それなのに、
社員5人の会社で、
複雑な等級制度。
詳細な職務記述書。
何十項目もの人事評価。
多段階の承認制度。
を導入すると、小規模企業が本来持っている機動性を失う場合があります。
逆に、社員が30人、50人と増えているのに、
「うちは家族的な会社だから」
という理由で、すべて社長の感覚で評価していれば、
評価の公平性。
管理職育成。
権限委譲。
昇進。
給与。
などで問題が起きます。
人事制度は、一度完成させるものではありません。
会社の成長に合わせて、少しずつ作り替えるものです。
「就業規則」と「人事評価制度」は分けて考える
ここは、非常に重要です。
就業規則と、人事評価制度は同じものではありません。
就業規則は、
労働時間。
休日。
休暇。
賃金。
退職。
服務規律。
など、会社で働くうえでの基本的なルールを定めるものです。
一方、人事評価制度は、
社員にどのような成果を求めるのか。
どのような行動を評価するのか。
どのように成長してほしいのか。
どのように昇給・昇格等へ反映するのか。
という、人材マネジメントの仕組みです。
この二つを混同してはいけません。
社員が10人未満でも、労務ルールを軽視してよいわけではない
労働基準法上、常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署へ届け出る必要があります。
ここでいう人数は、原則として企業全体ではなく事業場単位で判断されます。
一方、常時10人未満の事業場では、法律上の就業規則作成・届出義務がない場合があります。
しかし、
「10人未満だから、労務管理のルールを作らなくてよい」
という意味ではありません。
社員を1人でも雇えば、労働関係法令は適用されます。
採用するときには、
賃金。
労働時間。
休日。
業務内容。
就業場所。
契約期間。
などの労働条件を明確にする必要があります。
また、人数が少ない会社ほど、
「社長と社員の話し合いで分かっているはず」
という状態になりやすい。
しかし、
給与。
休日。
残業。
在宅勤務。
副業。
秘密保持。
経費。
退職。
などについて認識が違えば、後になってトラブルになります。
したがって僕は、
法的に必要な労務ルールは整える。
しかし、会社の規模に合わない複雑な人事管理制度までは、むやみに導入しない。
という考え方が重要だと思っています。
就業規則や労働条件について法的判断が必要な場合には、社会保険労務士や弁護士などの専門家による確認も必要です。
社員6名程度までなら、複雑な評価制度より「社長による直接評価」を活かす
では、社員数が少ない会社では、どのように評価すればよいのでしょうか。
僕は実務上の一つの目安として、社員が5~6名程度までで、社長自身が全社員の仕事を十分に把握できている段階では、
複雑な人事評価制度を作るよりも、
社長自身が直接、社員を見て、評価し、育成すること
を基本にしてよいと考えています。
ただし、
「社長の好き嫌いで評価する」
という意味ではありません。
最低限、評価基準は明確にします。
例えば、
1.役割
その社員に何を任せているのか
2.成果
何を達成したのか
3.行動
会社が求める仕事の進め方ができているか
4.能力
現在どの仕事まで任せられるか
5.成長
前回評価から何ができるようになったか
くらいに整理します。
社員が5人しかいない会社で、50項目の人事評価表を作る必要はありません。
それよりも、
「あなたには、今年この仕事を任せたい」
「この点は非常によくできている」
「次は、この仕事を一人でできるようになってほしい」
と、社長自身が具体的に伝える方が効果的な場合があります。
少人数組織ほど、評価は「点数」より「対話」が重要
社員数が少ない会社では、
5段階評価。
100点満点。
細かな等級。
だけで社員を管理する必要はありません。
むしろ、
何を期待しているのか。
何ができているのか。
何を改善するのか。
次に何を任せるのか。
を、定期的に話すことが重要です。
評価とは、
過去を採点すること
だけではありません。
社員評価の本当の目的は、「次に何ができる人へ育てるのか」を決めることです。
生成AIは、少人数会社の社員評価を「標準化する補助者」として使う
この段階では、生成AIが非常に役に立ちます。
例えば、
社員ごとの役割整理。
面談項目の作成。
評価メモの整理。
目標設定案。
業務マニュアル。
チェックリスト。
教育計画。
などを作ることができます。
例えば社長が、
「営業担当Aさんには、新規顧客開拓と既存顧客フォローを任せている」
と入力し、
その役割に必要な評価項目案をAIに整理させる。
その中から、
御社に必要なものだけを社長が選ぶ。
こうした使い方なら、AIは非常に有効です。
ただし、
社員の最終評価を、生成AIへ丸投げしてはいけません。
AIは、
その社員がどのような困難を乗り越えたのか。
顧客からどのように評価されているのか。
組織内でどのような役割を果たしたのか。
将来どの仕事を任せたいのか。
まで、経営者と同じように理解しているわけではありません。
AIは、
情報整理。
比較。
文章化。
論点整理。
の補助者として使います。
最終判断は、人が行います。
社員情報を生成AIへ入力するときには、情報管理にも注意する
もう一つ、重要なことがあります。
社員評価では、
氏名。
給与。
評価。
能力。
健康や家庭に関する事情。
人事上の機微な情報。
などを扱うことがあります。
こうした情報を、利用ルールを確認せず外部の生成AIサービスへ入力することは避けるべきです。
可能な限り、
個人を特定できない形にする。
入力する情報を必要最小限にする。
会社として利用するAIを決める。
社内ルールを決める。
という情報管理も必要です。
生成AI活用は、人事制度の効率化だけではなく、情報管理まで含めて設計する必要があります。
社員6名を超える頃から、「社長が全員を見る会社」から少しずつ脱却する
社員が増えてくると、社長一人がすべての社員を直接管理することに限界が出てきます。
ただし、
「6人になったら必ず管理職を置く」
という意味ではありません。
事業内容。
社員の経験。
拠点数。
仕事の複雑さ。
社長自身のマネジメント能力。
によって、適切な人数は違います。
僕は、5~6名程度を一人の管理者が直接把握する一つの実務上の目安として考えています。
社員が7人、8人、9人と増え、
社長が、
全員の仕事を把握できない。
面談時間を取れない。
社員からの相談が集中する。
現場の状況が見えなくなってきた。
と感じ始めたら、
「組織入門」の時期
です。
社員6名から9名程度では、「管理職」より先に「リーダー」を育てる
この段階で、いきなり、
部長。
課長。
という大企業型の階層組織を作る必要はありません。
まず、
チームリーダー。
業務責任者。
プロジェクト責任者。
という形で、部分的に人を任せます。
例えば、
営業チーム3人をまとめる。
制作担当2人の進捗を見る。
店舗責任者としてシフトと売上を見る。
という範囲から始めます。
そして社長は、
「あなたが責任者なのだから全部やってください」
ではなく、
何を任せるのか
どこまで決めてよいのか
どの数字に責任を持つのか
何を社長へ報告するのか
何が起きたら相談するのか
を明確にします。
これが、管理職育成の入口です。
社長が社員へ直接指示し続けると、管理職は育たない
ここで社長が最も注意しなければならないことがあります。
責任者を置いたのに、
担当社員へ社長が直接指示する。
責任者の判断を社長がすぐ覆す。
社員が責任者を飛び越えて社長へ相談する。
という状態です。
これを続ければ、責任者は育ちません。
社員から見ても、
「結局、社長の言うことを聞けばよい」
となります。
これは、以前のコラムで僕が「落下傘方式のマネジメント」と呼んだ状態につながります。
管理職を育てるとは、肩書きを与えることではありません。
意思決定する経験を与えることです。
社員10人前後から、人事管理を「社長の頭の中」から会社の仕組みへ移していく
社員がさらに増えると、
社長が、
誰が何をしているのか。
誰が成果を出したのか。
誰を昇給させるのか。
誰を次の責任者へ育てるのか。
を、自分の記憶だけで管理することが難しくなります。
ここから、
役割。
目標。
評価。
面談。
昇給。
昇格。
教育。
を、少しずつ会社の仕組みにしていきます。
例えば、
社員5名
社長による直接評価+面談
社員7~9名程度
簡単な評価基準+リーダー育成+定期面談
社員10名以上へ成長
役割定義+目標管理+評価記録+管理職による一次評価
さらに組織が成長
等級・報酬・昇格・人材育成を連動させる
というように、段階的に制度を育てます。
これは絶対的な人数基準ではありません。
会社の規模と組織成熟度に合わせて、人事制度も成長させるという考え方です。
人事評価で最初に決めるべきなのは、「何を評価するか」ではない
人事評価制度を作ると、
コミュニケーション力。
責任感。
積極性。
協調性。
リーダーシップ。
といった評価項目から考えたくなります。
しかし、僕はその前に、
「この会社は、どこへ行こうとしているのか」
を決めるべきだと考えています。
例えば、
既存顧客を深耕する会社なのか。
新規顧客を大量に獲得する会社なのか。
海外へ展開するのか。
高付加価値化するのか。
店舗を増やすのか。
社員へ権限委譲するのか。
によって、求める人材は違います。
したがって、
経営戦略
↓
組織戦略
↓
必要な人材
↓
社員の役割
↓
評価基準
という順番で作ります。
人事評価制度は、人事部門だけで作るものではありません。
人事評価は、「会社がどのような人材を評価し、どの方向へ組織を成長させるのか」という経営戦略そのものです。
生成AIで人事評価制度を作るときの5つの使い方
生成AIを活用するなら、次のような使い方が実務的です。
1.職種・役割ごとの期待成果を整理する
2.面談で確認する質問項目を作る
3.目標設定案・KPI候補を洗い出す
4.業務マニュアル・チェックリストを標準化する
5.社長や管理職の評価メモを整理し、面談準備を支援する
一方で、
AIに社員を自動採点させる。
AIだけで昇給・降格を決める。
本人が知らない基準で人物評価する。
必要以上の個人情報を入力する。
といった使い方は避けるべきです。
AIは人事判断者ではありません。
経営者や管理職の判断の質と生産性を高める「補助者」として使う。
この位置づけが重要です。
年商1億円から5億円へ進む会社は、「社員管理」を「組織づくり」へ変える
会社が小さいうちは、
社長が社員を管理する。
ことで会社は動きます。
しかし年商1億円、その先の5億円へ進むにつれ、
社長一人が、
社員を評価し。
仕事を教え。
相談を受け。
目標を決め。
進捗を確認する。
という方法には限界がきます。
そこで、
社員を管理する
から、
社員が成長し、管理職が社員を育て、組織そのものが成果を生み出す仕組みを作る
へ変えていきます。
そして、生成AIは、
人事制度を複雑にするためではなく、
人事管理に必要な事務負担を減らし、
評価の論点を整理し、
マニュアルや教育を標準化し、
社長や管理職が社員との対話へ時間を使えるようにするために使います。
AI時代の中小企業に必要なのは、「AIが社員を管理する会社」ではありません。
「AIを使って管理業務を軽くし、人間が人材育成と経営判断へ集中できる会社」です。
人事制度は、「大きな会社の真似」ではなく、「次の成長段階へ進むため」に作る
「社員評価が社長の感覚に頼っている」
「評価制度を作ったが、誰も使っていない」
「就業規則や人事制度を整えたが、組織が良くなった実感がない」
「社員数が増え、社長一人で管理することに限界を感じている」
「管理職候補を育てたいが、何を任せればよいか分からない」
「生成AIで評価表やマニュアルを作っているが、自社に適しているか判断できない」
「年商1億円から、その先へ成長するための組織を作りたい」
こうした課題を抱えている場合、
必要なのは、
立派な人事制度を導入すること
ではありません。
現在の社員数。
会社の成長段階。
経営戦略。
社長の関与度。
管理職の成熟度。
社員に求める役割。
を整理し、
「いまの会社に必要な最低限の制度」と、「次の段階で必要になる仕組み」を分けること
です。
年商5億円の壁を突破するための経営者伴走コンサルティング
年商3000万円から4億円程度のオーナー社長を対象に、2026年3月期・グループ総売上高48億円の企業グループを経営する現役オーナーCEOである松本尚典が、組織設計、社員評価、管理職育成、権限委譲、生成AI活用から、経営戦略、マーケティング、財務まで、経営判断と実行に継続して伴走します。
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https://direct.mbp-japan.com/menu/detail/936
URVグローバルグループの中小企業経営者 成長経営支援
経営戦略、事業計画、新規事業、売上・利益、組織、人材、マーケティング、財務、海外展開など、企業の成長に伴って複雑化する経営課題を、経営全体から支援します。
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