企業経営とは、「下りのエスカレーターをあがってゆくもの」

松本尚典

松本尚典

テーマ:売上アップ 売り上げ 販売促進   


ヒトの健康で例えると


僕は、よく、クライアントの経営者の方に、
「人生も、企業経営も、下りのエスカレーターを、昇っていくようなものです。」
と申し上げます。

まず、ヒトの人生で考えれば、わかりやすいと思います。
ヒトは、若いときには、意識をしませんが、身体の成長が止まる20歳くらいから、毎日、その体は、少しずつ老いていっています。

若い時には、体力に任せて無理ができますが、その無理が次第に利かなくなります。そして、中年になると衰えを感じ始め、高齢に至って、仕事すらできなくなる状態が訪れます。

ヒトは、ある一定の時期に、一気に老いるわけではありません。毎日、少しずつ、老いが進行して、ある時に、ふと、それに気づくのです。

つまりは、ヒトも身体は、成人したあたりの若い時期に、成長が止まった段階を頂点として、ゆっくりとした下りのエスカレーターに乗って、下っているのです。

健康に対して、賢いヒトというには、このことを理解しています。

食事に気を配って、サプリなどで補い、毎日運動を継続し、良質な睡眠で身体を回復させます。成人病などの兆候があれば、すぐに治療を行います。これで老いることをとめているわけではありませんが、老いるスピードを緩めているのです。

健康に気を配っているヒトが、そうでないヒトよりも若々しいのは、自分の健康が下りのエスカレーターに乗って下っていることを理解し、その下りのスピードを緩める努力をしているからです。

ヒトの経済でも、同じことがいえる


ヒトの経済的な要素についても同じことが言えます。

私たちは、毎日、生活をする中で、自分では気づかないほど、大きな固定費の消費をしています。

家賃や、持ち家の減価償却。
スマホ代から、3食の食事代。
所得税や住民税。

ヒトは、いくら節約をしても、必ずかかる消費を絶え間なくしているのです。ヒトは収入をえていない、休憩時間や、睡眠時間、休日に、この固定の消費が止まるわけではありません。つまり、ヒトの経済状態は、常に固定の消費という支出の下り坂のエスカレーターに乗っているのであり、労働をしている時間に稼ぐオカネで、その下りのエスカレーターを昇っているのです。

月に30万円の額面の給与を受けているヒトが、無駄遣いをせずに3万円を貯蓄できたとすると、その人は、月額27万円の速さの下りのエスカレーターに乗って、それを月に30万円のスピードで上がった結果、3万円分、上に移動できたと考えることができるわけです。

企業の経営は、下りのエスカレーター


さて、企業の経営では、上記の個人の下りのエスカレーターのスピードが、半端なく、速いのです。

例えば、僕が所有支配する、URVグルーバルグループは、2023年連結決算ベースで、日本円換算で、約33億円強の売り上げがあり、約3億円強の税引後利益を出しています。

つまり、僕は、経営者として、年間30億円のスピードの下りのエスカレーターに乗っていることになります。

1年間365日で換算すると、僕は1日あたり821万円を超えるスピードでオカネを使っている計算になります。

世界に広がるURVグローバルグループの会社と、そこで動く社員やスタッフ・パ-トナーを維持するには、膨大なコストがかかるのです。

このスピードを越えて、売上高をあげて、初めて、黒字化の経営ができるのであり、もしそのスピードよりも、売上高が低ければ、赤字転落を起こし、それが続けば、会社や僕の資産を食いつぶして、会社と僕は破綻します。

そう、経営というのは、この下りのエスカレーターに乗りながら、そのスピードを越えて、上にあがっていく活動なのです。

日本の事業存続率


日本では、起業をする会社と個人事業主が、その事業を継続できる継続率は、10年間継続で6%、30年継続できるのは、なんと0.2%です。

ここに、起業をする1000人がいて、その事業を10年後も継続できるのは、1000人中、60人。30年継続できるのは、1000人中、なんと2人しかいないです。

URVグローバルグループは、2025年9月に創業10周年を迎えますが、このような10周年を迎えられる会社は、創業した会社の6%に過ぎません。それは、とてもすごいことなのだと、僕は、自分を来年、褒めてあげたいと思っています。

ほとんどの経営者は、下りのエスカレーターのスピードよりも速く上に登り続けることができずに、リターヤーしてゆきます。

経営者が負抱くべき自覚


僕は、自分のクライアントの経営者の方々に、まず、この意識を持つことをお教えしています。経営戦略のスタートは、この危機意識を経営者が持つことが出発点です。自分の周囲にいる、無自覚な会社の経営者と同じ発想のレベルにいたのでは、自分は多数派のリターアー組になる、という意識と緊張感をもって、経営に臨み始めることだと、僕は思っています。

優れた経営者は、常に、ココロに焦燥感を持って行動しています。アクティブで、上をみているように外からは見えても、それは、足元を見つめて、焦燥感を抱き、その焦燥感に駆られて、努力を続けている、下りのエスカレーターに乗って、それを上がっているのが、優れた経営者の実態なのです。

この焦燥感にかられた危機意識の中から、攻撃こそ最大の防御であることを悟り、維持をするための最大の策が成長戦略であることを自覚して、成長を開始する経営者だけが、10年・30年を生き残る経営者となるのです。

そして、そのような優れた社長は、起業する社長の1000人に2人くらいの確率でしか生まれません。僕の経営コンサルタントの仕事は、そのような1000人に2人の確率で出現する逸材の経営者を、育成することなのです。

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松本尚典
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松本尚典(経営コンサルタント)

URVグローバルグループ 

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