フィンテックと、マイクロファイナンス その現在(いま)と、未来(これから)

松本尚典

松本尚典

テーマ:銀行 企業 関係


フィンテックの上に建つ、マイクロファイナンス


新興国や途上国では、融資の与信が通らないヒトが、フィンテックを利用したマイクロローンで資金を調達し、事業に乗り出すケースが激増しています。

金融の与信は、過去の返済実績等、通常の金融における与信情報を基礎にしますが、フィンテックが活用するAIがディープランニングするビックデーターには、それとは比較にならない量の情報が読み込まれるため、通常の金融の与信が通らないヒトも、与信が付与される可能性があります(もちろん、逆に、通常の与信では読み込まれない隠れたマイナス情報も読み込まれるので、フィンテックを活用すると、特に日本のような先進国では与信が通らないヒトも出てきます)。

新興国や途上国の場合、過去に融資を受けられていなかったヒトは、ブラックリストに掲載されるような情報がなく、むしろ、企業から支払われる固定の給与収入がない、などのことで、銀行から与信が付与されないケースが多いため、フィンテックを活用すると、与信が付与されるケースが非常に多く出てくるのです。

このように、フィンテックは、今、AIのディープランニングの技術と相まって、新興国や途上国の個人事業主に大きなチャンスを齎しています。

巨大な個人事業起業を支えるマイクロファイアンス


僕が、今、東南アジア・インド・アフリカなどの新興国や途上国に行き、そこで、現地を動くために、ガイドを手配すると、片言の日本語を話す現地人のガイドさんたちは、ほぼ、独立事業者で、その友達などを紹介してもらうと、そこには、驚くほど、多様な事業を目指す、独立個人事業者が溢れています。

日本のように、大卒者のほとんどが、企業に就職するという慣習がない新興国や途上国では、僕のような事業主は、雇用者を求めるのではなく、このような個人事業主を、必要な時に使いながら仕事ぶりを判断し、最も使い勝手がよく、誠実な人物に仕事を依頼すれば、多くの仕事が事足りてしまいます。

先進国からの大企業の進出の場合、日本での会計処理のための領収証などの帳票が必要となり、給与を銀行振込等で対応しないと、本社が納得しないのですが、僕などは、彼らを、「領収書なしの現金の手渡し」で使うことにより、彼らの中から最もアクティブな人材を選び出して、最も、効果的に活用することができます。

彼らは、来月の200ドルよりも、今日の100ドルで動くのです。こうした個人事業主に話を聞いてみると、Mooveなどに代表されるフィンテック金融で、マイクロ融資を受けて、それを元手に、仕事を開業しています。

新興国で勢いを増す、MOOVE


Mooveという会社名(サービスブランド名)を聞いたことがない方は、このメルマガを読まれている日本の方の中には、多いのではないでしょうか?

Mooveは、アフリカのGDPでNo.1の経済大国 ナイジェリアで創業されたフィンテック企業です。先進国の金融とは異なり、会社員のような固定給与収入を受け取らないヒトに対するマイクロファイアンンスで急成長をとげた企業です。

与信審査に、労働意欲・専門技術や学歴・友人や顧客の評価まで含めたビックデーターをAIにディープランニングさせ、AIによる審査で的確な与信を実行。アラブ首長国連邦に進出し、更に、フィンテックの最大マーケットと目されるインド市場に展開を開始しました。

その成長性は目覚ましく、今後、Mooveは、欧米や日本のメガバンクを凌ぐ融資額を達成する可能性があると言われています。

マイクロファイアンスと、事業戦略


日本のような少子高齢化の最先端を行く国の運命とは全く異なり、世界の人口は、グローバルサウスで激増を続けています。特に、インドと、アフリカの経済大国は、その人口増大の旗手大国です。このインドとアフリカの経済大国が、戦争や内乱などによる経済的混乱によって大量な国民を低所得のボトム層にとどめるのか、あるいは、強力な独裁的政権のもとで、増大する国民を中間所得層に押し上げられるのか、が、人類が、21世紀後半に繫栄を続けられるか否か、の試金石になると、僕は考えています。

僕ら先進国の資本投資家は、この巨大な市場で60億人を超える新たな中間層を生み出し、戦後日本の高度成長を超える、極めて高い成長を実現できれば、そこには、想像を絶するビジネスチャンスが広がるわけですから、ここに、アーリーステージで参画して、トップランナーのポジションを占めることを目指すわけです。

僕は、今、6月号・7月号で発信した飲食六次化事業の、グローバルサウスへの進出により、このエリアの高所得者層向けビジネスを確立して、このマーケットへ切り込む利益の確保と現地法人の維持基盤の確保を進めています。

しかし、僕の、ビジネスも本命は、このビジネスが対象とする高所得者層ではありません。

本命は、このエリアで22世紀に向けて爆発的に増大する、新中間層向けの事業の樹立だと思っています。

この将来の中所得者層は、今の時点では、まだ低所得者層に留まっています。この低所得者層の中から、中所得層にのし上がる猛烈なモチベーションを持つ層を囲い込むために、僕は、今、途上国・新興国に展開するマイクロファイナンスのフィンテックに注目しています。

これらの企業との間で、僕がどのような事業関係を構築できるかの戦略は、いまだ開発途上にあり、ここで書くレベルのものではありません。

しかし、日本の銀行から、イギリス資本のPwCニューヨークという組織にて、金融業界の経験を積んできた僕が、金融業界で、自分の事業として仕掛ける分野は、途上国・新興国におけるフィンテック企業による、マイクロファイナンス事業であると、決めているのです。

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