暗号資産の現在(いま)と、未来(これから)
1.ブロックチェーンとは?
ビットコインをはじめとする仮想通貨は、国家の中央銀行が発行する、これまでの通貨とは全く異なるシステムに基づいて発行されています。
ビットコインは、2008年10月にサトシナカモトを名乗る人物によって発表された論文“Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System”で論じられた原理に基づいて2009年に運用が開始された仮想通貨です。
そして、このビットコインの核になるテクノロジーが「ブロックチェーン」です。
2.このブロックチェーンなるものは、何が凄いのでしょうか?
サトシナカモトの論文の題名に注目してみましょう。
ひとことで言えば、ピア・ツー・ピアという言葉が使われていますが、これが凄さの内容です。
詳しく説明しましょう。
通常の情報システムは、必ずどこかに中央になるデータベースが存在します。
例えば、「クラウド」という言葉は、そのデータベースが、企業の管理するサーバーではなく、別の企業にあるサーバーを、クライアントと呼ばれる手元のパソコンやスマホで利用するサービスを指します。
利用者から観ると、サーバーが、どこにあるのかわからないでも、そのサーバーが提供するサービスを使うことができるので、「雲」のような存在のサーバーサービスという意味で「雲=クラウド」と呼ぶわけです。
いずれにしても、クラウドでも、サービスを提供するサーバーが中央に存在していることには違いありません。
このような中央集権型サーバーと、そのサービスを受け取るクライアントが基本的に存在するシステム(これをクライアント・サーバーと呼ぶ)が、情報システムの基本的な設計構造でした。
これに対し、ブロックチェーンの世界では、このような中央のサーバーが存在しないのです。
つまり、通貨を管理する「中央の台帳」が存在しないのです。
3.では、どうやって統一管理するのよ?
ブロックチェーンは、利用するクライアントを、あたかも、鎖のように繋がった環境に置き、そのクライアントを相互に監視させる仕組みを、まず作ります。
そのうえで、そのすべてのクライアントに、すべてのデーターを保有させるという考えに基づいて設計されています。
つまり、すべてのクラアントが、鎖のように繋がって、世界中にあるビットコインのすべての情報を鎖の繋がりのように順繰りに提供してゆきます。
そうすればすべてのビットコインの最新の保有情報を、すべてのクライアントが漏れなく瞬時に保管することができるわけです。
それをクライアント相互が鎖で繋がったネットワークの中で監視しあって、正確な情報を保ち続けます。
これが、ブロックチェーンの構造です。
4.こうすると、何が変わるのでしょうか?
これまで、情報を不適正に書き換えるハッカーのような存在が攻撃をしかける場合、ハッカーは、中央のサーバーのセキュリティを破り、侵入して密かに情報を書き換えたり、ウイルスを埋め込めばよかったわけです。
しかし、ブロックチェーンでは、情報を破壊するためには、すべてのクライアントの情報を書き換えたり、すべてのクライアントにウイルスを漏れなく感染させなければなりません。
一部の情報を書き換えても、相互監視しあって鎖で繋がるクライアントは、瞬時に情報を適正に戻してしまうからです。
そうなると、不正な書き換えは、この全システムを同時に破壊しない限り、できないことになります。
しかも、クライアントが相互に監視しあうため、中央で監視をしたりする機関がいらないわけです。
そのため、これまで、国家が果たしてきた通貨を監視する役割がいらなくなったわけです。
通貨偽造を捜査する警察権力もいりません。
中央にいる権力者が不要となり、ただ、ルールだけが定まれば、そのルールに従って、鎖に繋がったクライアントが、相互に情報交換と監視をはじめるわけです。
こうして、国家が支配するのではなく、ルールが支配する通貨発行が可能となりました。
ここに登場したのが、ビットコインだったわけです。
これまで、ビットコインが社会的に大きな注目を集めた事件は、いずれも取引所で起きた問題です。
日本円でいえば、東京為替市場が取引所にあたるが、注意すべきは、通貨発行機関である日銀は取引所ではありません。
つまり、ビットコインは、取引所が起こした問題で社会の注目を集めただけで、これまで一度も偽造されたことがありません。
偽造が不可能なテクノロジーであるブロックチェーンによって支えられているためです。
ビットコインは、偽造をすることが不可能な通貨なのです。
ここに、ブロックチェーンの驚異的なテクノロジーとしての優位性があります。
同時に、ビットコインを超えて、ブロックチェーンが、未来の人類の情報システムにとって、驚異的なテクノロジーになるポテンシャルがあることを意味するわけです。
松本尚典の中小企業経営者支援コンサルティングサービス
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