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松本尚典

年商5億円の壁を突破したい社長のための経営コンサルタント

松本尚典(まつもとよしのり) / 経営コンサルタント

URVグローバルグループ 

コラム

事業計画作成法を伝授します⑥~ビジネスモデル作りの極意は、ブラックボックスの設定~

2021年9月9日 公開 / 2022年9月17日更新

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 事業計画書ビジネスモデル事業計画 立て方

このコラムは、「事業計画作成法を伝授します①~⑤」から、内容が連続しています。そちらをまだ、お読みになっていない場合、一旦、①~⑤のコラムにお戻りいただき、そちらを読んでから、このコラムをお読みください。

さて、次は、いよいよ、これまでの情報収集や分析を踏まえた集大成である、ビジネスモデルの策定です。

ビジネスモデル造りを、安易な図を作って終わらせていませんか


さて、普通の事業計画立案の教科書的な書籍を読むと、このビジネスモデル造りは、「図の作成」として書かれています。

事業の経営資源であるヒト・モノ・カネが、その登場主体(企業)の間をどのように動くかを矢印で繋ぐ図を作ることをもって、ビジネスモデルの策定としています。

しかし、僕は、声を大にして申しあげたいことがあります。

「ビジネスモデルの策定というのは、そんな安易なものではありません!」
、と。

事業計画では、このビジネスモデルの策定を行った後に、マーケティング計画・組織計画などのビジネスモデル実現の各論を立案し、スケジュールや採算計画に入っていきます。

つまり、これらの計画は、すべてビジネスモデルを具体的に実現するための、“How”の内容です。この内容を展開するベースとなるものが、ビジネスモデルなのです。事業の成功・不成功を根本から決めるのが、ビジネスモデルです。

経営資源の動きを図示するなどということは、誰にでもできます。そんなことで、ビジネスモデルが創れるほど、安易なものではありません。

ビジネスモデルの策定というのは、事業計画の最大の要なのです。

そして、それは、これまでに検討してきた事業理念と目的、SWOT分析、競合の情報収集や対競合の作戦の結果を総動員し、そのうえで、自分の事業計画に、成長戦略・競争戦略の優位にたてるための、自分だけの仕掛け、「ブラックボックス」を仕込むことがポイントとなります。

ブラックボックスとは何か? どういう観点から仕込むか?


ブラックボックスとは、他社に対して、参入障壁があり、自分が優位にたてるビジネスモデル上の仕掛けです。

これまでの①から⑤までで検討してきた、事業理念と目的、SWOT分析、競合の情報収集や対競合の作戦は、このビジネスモデルのブラックボックス仕込みのための検討という位置づけになります。

その検討内容を、ここで復習してみましょう。

事業の理念や目的(詳細は、①を参照)


何故、あなたはその事業を遂行するのか?
その事業を遂行して、どのような目的を達成したいか?
その事業の結果で、どのような社会的な価値が生まれるか?
あなたにとって、その事業の遂行は、あなたの過去の経験のどこを活かせるか?
あなたは、その事業のどこが好きなのか?

SWOT分析(詳細は、②③を参照)


自分の強みはなにか?
自分の弱みはなにか?
事業環境の機会はなにか?
事業環境の脅威はなにか?

競合分析(詳細は、④⑤を参照)


競争業者はだれか?
新規参入者はだれを想定できるか?
脅威ある代替品はなにか?
売り手と買い手の競争参入は?

以上の情報をベースにしながら、自分が競合に勝ち、事業の理念をぶらさずに事業を継続し、外部環境の機会と脅威の中で、自分の強みを発揮し、弱みを補う「とっておきの策」をたてることで、ブラックボックスの設定を目指します。

事例をもとに、ブラックボックスの仕込みをしてみましょう


さて、それでは、実際にAさんのお蕎麦やさんの事例をベースに、ビジネスモデルにどのようにブラックボックスを仕込むかを、具体的に検討していきましょう。

事業の理念や目的


Aさんは、老舗の蕎麦やさんで、10年以上働いてきました。そして、「自分の店をもちたい」「独立したい」という夢が、Aさんの事業遂行の理由です。

Aさん自身が、老舗のそばやさんの善さを、充分理解したうえで、それに対して、自分の創意工夫をくわえて、蕎麦やツユの味を生み出し、F市の地域の方や、Aさんの店にわざわざ食べに来てくれるお客様に、自分の味を提供したいというのが事業の目的です。

そして、蕎麦打ちの技術や蕎麦ツユの製法を習得していることや、暖簾分けをしていただいた老舗の蕎麦屋さんの暖簾、その仕入先や、そこで働いていたスタッフなどが、Aさんの強みの中心要素でした。

一方、F市は駅付近に開発が進み、自治体として勝ち組の位置にあるという機会がある反面で、競合は厳しく、更に、新規参入や代替品の脅威に晒される、強い競争状態に晒されるでしょう。

手打ちそばや、自家製のツユを、上質な仕入先から調達した食材で作るというだけのビジネスモデルでは、とてもブラックボックスを仕込んだことにはなりません。確かに、手打ちそばや、自家製のツユは、大手の競合にはない商品の強みにはなりますが、しかし、それだけでは、Aさんだけの、競合が見つけられないブラックボックスにはなりえないといえます。

例えば、次のような策をAさんが練ることはどうでしょうか?

【ブラックボックス・アイデア その1】


名店のラーメン店と独占事業提携をし、手打ちそばを使ったラーメンと、こってりしたつけ麵のツユを使ったざるそばの相互商品化(独占事業提携手法)

ラーメンの業界は、参入と撤退が、飲食業界で最も激しい、競合が最もきつい業界です。従って、ラーメン店の経営者は、生き残りをかけて、新規の商品の開発に積極的な経営者が多い世界でもあります。

ラーメンの一要素に自家製面を打ち出す店は多いのですが、そこに、Aさんの手打ちそばと相性がよいツユを持つラーメン店をみつけ、そこの店と、商品共同開発を行う独占事業提携を結ぶのです。

ここで重要なのは、「独占事業提携」の契約をしっかり締結することです。

Aさん自身がラーメンを自分で食べ歩き、めんつゆに独自のこだわりを持つ店で、手打ちそばとあうつゆを持つ店をみつけ、そこの社長に、商品を共同開発する事業提携を締結することを提案するのです。

勿論、事業提携を行うにしても、その条件をしっかりと事前交渉をしなければなりません。いい加減な交渉で事業提携に入ると、ノウハウを相手に持っていかれてしまったり、仮に事業提携がうまくいかずに撤退をする場合に、相手と揉めてしまったりする可能性があります。

Aさん自身が直接交渉することも一つの方法ですが、事業提携は、先々、非常に上手くいった場合など、資本提携に発展するようなことも想定しておかねばなりません。

ちなみに、僕が代表取締役を務める、株式会社URVプランニングサポーターズでは、成長企業M&A事業を専門とする、M&Aアドバイザリーサービスを行っています。このような事業提携先をリサーチし、事業提携の条件交渉の仲介を行っていますので、このような専門家に、リサーチと交渉を依頼することも選択肢の一つになります。

ちなみに、企業によって異なりますが、株式会社URVプランニングサポーターズは、成功報酬で事業提携のリサーチや交渉をお引き受けしますので、成功しなければ費用は掛かりません。

成功企業M&A
https://urv-group.com/services/consulting/growing-manda/

【ブラックボックス・アイデア その2】


F市の農家が作った地元の野菜を使った天ぷらで、天丼や天ざるのメニューを作り、農家の「顔」を表示する(商品材料の独自化手法)

大手の企業や代替品に真似ができない方法が、F市の地元の農家や企業から、直接、生産物を仕入れ、それで、商品を開発することでしょう。

Aさんの場合、自分の蕎麦打ちの技術を利用して手打ちそばを出せるわけで、それを独自のメニューにできるわけです。それに最もあうのが、天ぷらではないでしょうか?

F市は東京郊外の街で、市内には、農家も数多くあります。

このような農家の中には、無農薬にこだわる人もいますから、そのような農家の自家使用の野菜を仕入れ、それを作り手の農家の顔をだしながら、地元産の無農薬野菜を使用している天ぷらとして、天ざるを看板メニューにしてゆくことを打ち出すのです。

【ブラックボックス・アイデア その3】


Aさんが、料理人として、自分のインスタグラムで料理の写真を発信し、繋がったインフルエンサーの方に、料理を食べていただき、それを発信して貰う

今度は、マーケティングに関するブラックボックス・アイデアです。

大手企業は、組織的に広告費用をかけ、SNSでのリスティング広告をうっています。しかし、今のSNSでは、企業が費用をかけて行う広告は、あまり信用されません。

それに対して、Aさんのように、蕎麦職人の個人の料理人が、自分の料理を撮影して、地道に発信することは、多くの食が好きなインフルエンサーと繋がる有効な手段でもあります。

そこで、Aさんはインスタグラムをはじめ、そこに投稿を繰り返しながら、様々なヒトと繋がりを作っていきます。そして、その中で、日本蕎麦を中心に食の発信をするインフルエンサーの方を、店に招待し、その方に料理を無料提供して、発信をしてもらうのです。

広告費をかけることを考えれば、これは非常に安価な方法です。そして、インフルエンサーの方の発信の信頼性は抜群であり、それをみた方から、お客様が増えるでしょう。

このような方法は、地道な方法ながら、安価で効果が抜群で、他の店にはなかなか真似のできない方法です。

【ブラックボックス・アイデア その4】


お客様のお誕生日に、おめでとうメッセージを送り、お食事券をプレゼントする

来店されたお客様に、ポイントカードなどを発行して、ポイントによる割引を行うことは、多くの店でも実施しています。ただ、今は、ポイントカードが多すぎて、お客様の財布の中で管理ができなくなる状態に至り、店ごとのポイントカードは、減少傾向にあります。

さりとて、独自のアプリの開発や大手のポイント加盟には費用が莫大にかかります。

そこで、来店された、お客様に、「特典つき」で、店のLINEのQRコ-ドを読んでお友達になっていただき、お誕生日を申告して貰って、それを管理します。

LINEのグループに、店のお知らせをお送りするとともに、お誕生日月には、お友達登録をいただいた方に、おめでとうの連絡と、それを店で提示いただくことで、思い切った金額の「お食事」の割引を行う、お食事券を送るのです。

この方法は、予算もほとんどかからず、しかも、ヒトはお誕生日を覚えていてもらうことに非常に好感を覚えるものですから、来店率も高まるでしょう。

ブラックボックスの仕込みは、継続的に続けるべきもの


ブラックボックスは、決して特別なものではありません。まさに、「他の企業が真似をできない独自の方法」で、お客様の心に響くものであれば、どのようなものでも、仕込むことができます。

事業計画のビジネスモデルでは、単に、安易な図を作って満足するのではなく、このように、自分のオンリーワンのアイデアを、多数、ビジネスモデルに埋め込むことが重要です。

それがどれだけ仕込めるか、また、継続的にブラックボックスの仕込みを続けられるかが、競合に強く、成長を続けるビジネスモデルを生み出すコツなのです。

尚、自分で、ブラックボックスの創出ができずに悩んでいる社長さんは、是非、僕のマイベストプロの無料相談にご一報ください。僕が、直接、お手伝いさせていただきます。

続く

松本尚典の中小企業経営者支援コンサルティングサービス

https://mbp-japan.com/tokyo/yoshinori-matsumoto/service1/5002501/

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