年商1億円の壁を超える、経営戦略の柱~マーケティング~
マーケティングミックス 4Pとは?
企業のマーケティングというのは、単なる営業活動や、広告活動を行うということから卒業し、企業組織総体で、顧客に向けた総力販売活動体制をとる活動を意味します。
企業が、組織化を行い、その後に、その組織のすべてを、販売という共通目標に向けて、統合してゆく活動が、マーケティングです。20世紀最大の経営コンサルタントであるP・ドラッカーは、企業活動にとって、このマーケティングと、イノベーションこそ、最も重要だと論じておられます。まさに、その一方の柱が、マーケティングです。
さて、マーケティングは、よく、マーケティングミックスという要素で構成されると言われています。
この要素を、「4P」と、マーケティング論では呼んでいます。
Product(商品)
Price(価格)
Place(販路・物流・販売拠点)
Promotion(プロモーション)
この4つを総称して、4Pと呼びます。
中小企業が大企業にどうしても勝てないのは、プロモーションだ
僕は、これまで、多くの中小企業の経営指導をして参りました。その中で、いつも感じることは、中小企業が大企業に比べてどうしても弱いのは、この4Pのうち、プロモーションである、ということです。
中小企業は、Product(商品)において強いものを持っている会社も多く、固定費が軽いためにPrice(価格)の競争力も、大企業に対しても決して弱くありません。また、独自のPlace(販路・物流・販売拠点)も持っている会社が多いのです。
ところが、圧倒的に大企業に比較して弱い領域が、このプロモーションなのです。
そして、中小企業が「企業」の仲間入りをする領域、つまり、年商1億円を超えることをクリアーするためには、どうしても、このプロモーション戦略を強化しなければなりません。
プロモーションで、壁を破った企業の事例
プロモーション戦略で、壁を破り、大きく飛躍のチャンスを掴んだ企業は、枚挙にいとまはありません。
そのうちでも、代表的な企業の事例を、ここではご紹介しましょう。
梅酒で、日本のシェアー No.1を持つ、チョウヤ梅酒株式会社です。
チョウヤは、梅酒というニッチな領域で、サントリーやアサヒなど、酒の大企業を寄せ付けず、トップシェアを持つ、超・優良企業です。
そのブランド力は、最高レベルの商品の広告で、「これはもう、梅酒というより、チョウヤです」と発信できるほどです。
ところが、チョウヤ梅酒株式会社は、社員がなんと、130名しかいない「中小」企業です。
もともと、チョウヤは、国産ワイン製造を手掛けたメーカーでした。しかし、輸入ワインの自由化を睨み、勝てるニッチ分野に進出をすべく、参入したのが、梅酒でした。
ところが、当時、梅酒は、「家庭で自家製するもの」というのが常識であり、チョウヤの梅酒は、当初、酒屋の店頭に並べてももらえない商品でした。加えて、梅の実を、販売する酒に入れることは、異物混入にあたるとして、保健所の許可がおりませんでした。
これを打破するため、「梅酒を、買って飲む」という発想を世の中に発信する目的で、チョウヤは、テレビCMに打って出ます。そして、「梅酒という商品」を、国民に刷り込んでいきました。
これが成功し、チョウヤは、梅酒という商品を販売する、最初のメーカーとなりました。その後も商品品質に妥協せず、成長を重ね、今では、他のメーカーを寄せ付けない、ニッチ商品の優良企業となったのです。
中小企業が、プロモーションに弱い理由は、そのコストの高さ
実は、チョウヤ酒造株式会社の、この戦略を、他の中小企業が真似できない理由は、チョウヤの広告比率の高さに現れています。
チョウヤは、当初、売上高の50%近い広告費を、テレビCMに投じていました。これは、広告比率からみると明らかに異常です。従業員の給与よりも高い経費を、広告費に投じていたことになります。
確かに結果的には、チョウヤのこのプロモーション戦略は成功しました。しかし、ここに、他の中小企業が、チョウヤに追随できない理由があります。
プロモーション費用は高すぎるのです。
例えば、チョウヤのCMの初代の出演者は、みやこ蝶々さんでしたが、明らかに当時のチョウヤの売上高からすれば、これは、高すぎる投資でしょう。
ここに、資金調達力で圧倒的に有利にたつ大企業に、中小企業が、ブランディングで勝てない理由があります。プロモーションにコストがかかりすぎるのです。
しかし、それでも、プロモーションは、企業が、ある領域から飛躍をするには、不可欠な要素なのです。
中小企業は、本気で、低コストで、プロモーション戦略を成功させる方法を模索し、このプロモーションの壁を乗り越える必要があるのです。
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