年収のカラクリ ~年商5億円を超えた経営者たちの、自分の年収の決め方の技~
年収3000万円の壁 組織化の壁 再考
このコラムで、売上3000万円の壁の突破には、個人事業から組織化が必要です、というコラムを書かせていただきました。
その中に、次のようなことを書きました。
「組織を創ると、PDCA(P=計画化、D=行動、C=検証、A=実行)のサイクルをメンバーで共有し、メンバーの動きを、組織の目標に向けて統合する管理が必要になります。
これを適切に行えないと、組織は、バラバラな個人が勝手に活動する、非効率な集団と化します。」
さて、ここで、私は、PDCAサイクルという、経営者の方に馴染みの深いマネジメントサイクルで、「組織の目標に向けた、組織の統合」の必要性に言及しました。
しかし、実は、このPDCAサイクルという、日本の経営者が馴染みの深い手法が、アメリカの経営現場では、既に、時代遅れのものと評価されつつあります。
そこで、今日は、このPDCAサイクルをまだ採用されている経営者の方に、新たなフレームワークである、OODAサイクルへの脱却をお勧めするコラムを書かせていただきます。
PDCAサイクルは、何故、時代遅れになっているのか?
PDCAとは、メンバーの組織行動を、P=計画化 ⇒ D=行動 ⇒ C=検証 ⇒A=実行、のサイクルで回し、メンバーの動きを、組織の目標に向けて統合する管理手法です。
例えば、自社の事業の顧客ターゲットを新たなペルソナに設定し、そのペルソナに受け入れられる商品を開発し、市場に投入する、という、市場開拓戦略を行う組織があったとします。
そうすると、PDCAでは、まず、計画(P)、すなわち事業計画を策定せよ、と教えます。
そして、計画に基づいて、商品開発を行い、それを試験的に市場に投入するという行動(D)を起こせ、と教えます。この試験投入の結果を検証(C)せよ、と教えます。その検証の結果を計画にフィードバックし、計画を修正し、改めて、商品開発を修正し、そのうえで、本格的なオペレーション行動(A)を行え、と教えます。
これが、PDCAサイクルです。
さて、このPDCAサイクルを回してみるとわかるのですが、このサイクルは、担当組織が、大企業のそれのように大きく、かつ、役員会などの上部組織のコンセンサスを得ながら進めるには適しているのですが、そのため、非常に時間がかかります。
限られた資金、限られたチームメンバーで、スピードをあげて新規事業を実行マターに乗せるには、迂遠すぎます。
事業の立ち上げにスピードを求める今のアメリカ、そして、経営的にその影響を最も受けた中国(政治的には、米中は激しく対立していますが、中国の有力企業の経営者は、日本企業よりも、ずっとアメリカの大学院でMBAを取得した人が多く、中国企業の経営は、日本企業よりもずっと、アメリカ型です)では、PDCAは非常に評判が悪いフレームワークになりつつあります。
OODAモデルとは?
さて、PDCAに代わって、非常に注目されているのが、OODAモデルです。
Ovserve(観察)⇒Orient(適応)⇒Decision(決定)⇒Action(行動) が、OODAのサイクルです。
PDCAは、まず計画化から入ります。しかし、ビジネスの外部環境の変化が非常に高いスピードを要求する中、事業計画の立案から入るという行動自体が、スピードを落とす原因にもなりかねません。
加えて、事業計画は、従来、数年間を予想して、その採算を計算するものですが、立案した瞬間から、外部環境が変化してしまうのが、現在のビジネス環境の実情です。そのため、数年間を予想した事業計画を、毎年、立案しなおすという、ローリング計画のような手法を大企業では事業計画手法として採用します。しかし、ローリング計画を必要とすること自体が、既に、数年間の事業計画に、無理があることを示しています。
したがって、特に、ベンチャー企業を中心に、アメリカでは、計画から入り、それを検証するという発想のPDCAが、完全に時代遅れのマネジメントであると、捉えられはじめています。
計画のかわりに、外部環境・競合の活動・試験的な販売の情報を、Ovserve(観察)することから入るのが、OODAモデルです。そして、その結果を自社および自社を取りまく外部環境に、SWOTによって適合させて修正し、採用決定をして、実行に移す、という、スピーディな行動で、結果を追求してゆくのが、OODAモデルです。
ベンチャー企業の経営には、何よりもスピードが重要です。そのマネジメントサイクルを、肥大化した大企業のサラリーマン集団が行う、PDCAモデルで実施していたのでは、到底、スピードアップは図れません。
その場合、マネジメントサイクルとして、OODAモデルを参考にすることは、非常に有効な発想だと思います。
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