【不貞慰謝料】妊娠・出産が絡む場合の金額への影響
婚約を解消する話し合いを進めようとしたところ、相手本人ではなく、相手の親から連絡が来る。顔合わせの席に親が同席し、親が条件を切り出してくる。婚約は家族ぐるみで準備が進むことが多いため、解消の場面で親が前に出てくるのは珍しいことではありません。
ただ、親が出てきたからといって、親の言うとおりに話をまとめなければならないわけではありません。婚約はあくまで本人同士の約束であり、親がどの立場で話しているのかによって、受け止め方も応じ方も変わります。この記事では、相手の親が話し合いに出てきたときに確かめたいこと、話し合いの場での注意点、親に責任を問える場面と問いにくい場面、合意を書面にするときのポイントを順に整理します。
本記事は一般的な考え方を整理したものです。婚約が成立していたかどうか、解消に正当な理由があるかどうかは個別の事情によって判断が分かれますので、具体的な対応はご相談のうえでご検討ください。
婚約の当事者は本人同士であり、親は当事者ではない
婚約は、将来結婚しようという二人の合意によって成立します。結納や両家の顔合わせは婚約があったことを裏づける事情にはなりますが、婚約という約束を交わしているのは、あくまで本人同士です。
成人した子の婚約について、親が代わりに婚約を取り消したり、解消の条件を決めたりする法的な権限はありません。親が「この話はなかったことにしてほしい」と伝えてきても、それだけで本人の意思が確定したとはいえませんし、親が示した金額や条件に本人が拘束されるとも限りません。
一方で、親が話し合いに関わること自体が禁じられているわけでもありません。本人が親に窓口を頼んでいる場合や、結納・式場費用を親が負担していて親自身が清算の当事者になっている場合もあります。大切なのは、親を一律に排除することではなく、誰と誰の間の、どの問題について話しているのかを切り分けることです。
相手の親が出てくる主な場面
- 本人ではなく親から、破談にしたいという連絡が来る。
- 本人と連絡が取れなくなり、親だけが窓口になっている。
- 結納や式場のキャンセル料など、費用の清算を親が仕切ろうとする。
- 親が「慰謝料を払え」「こちらは払わない」と金額の話を持ち出してくる。
- 親が結婚に反対し、その意向を受けて相手が婚約の解消を申し出てきた。
弁護士ドットコムなどの法律相談サイトでも、相手の親から一方的に破談の電話があり、本人同士で話し合わせてもらえなかったという相談や、親の反対をきっかけに入籍を断念したという相談が見られます。親の関わり方によって、確かめるべき点は異なります。
最初に確かめたいこと|親は誰の立場で話しているのか
本人の意思を本人から確かめる
親から「本人はもう会いたくないと言っている」と伝えられた場合でも、その言葉が本人の意思なのか、親の意向なのかは、外からは分かりません。本人と直接話すのが難しい事情があるとしても、少なくとも本人からのメッセージや書面で、解消の意思を確かめておくことが考えられます。
本人の意思が確認できないまま話を進めると、後になって「親が勝手に言っただけだ」「自分は解消するつもりはなかった」と言われ、話し合いがやり直しになるおそれがあります。
親に決める権限が任されているか
親が金額や条件を提示してきたときは、それが本人から任された範囲の話なのかを確かめます。親が本人の代わりに合意をする場合、本人から代理を任されていることが前提になります。委任状や本人の同意を示す書面の提示を求めることは、失礼な対応ではなく、合意を確かなものにするための手順です。代理権の確かめ方については、【男女トラブル】相手の家族が代わりに交渉に出てきた|代理権の有無の確かめ方で詳しく解説しています。
親自身が当事者になっている部分を切り分ける
結納金を親が用意した、式場の契約名義が親になっている、新居の費用を親が出したといった場合、その部分については親自身が清算の当事者になることがあります。問題ごとに、誰との間の話なのかを整理しておくと、話し合いが混線しにくくなります。
| 話し合う事項 | 主な当事者 | 親が関わりやすい場面 |
|---|---|---|
| 婚約を解消するかどうか | 本人同士 | 親が本人の意向を伝えてくる |
| 慰謝料の有無と金額 | 本人同士(親の関与の程度によっては親も) | 親が金額を提示・拒否してくる |
| 結納金・結納品の返還 | 結納を交わした者(親が出していれば親) | 親同士で受け渡しをしている |
| 式場・新居などの費用 | 契約者・負担者 | 親が契約者または負担者になっている |
話し合いの場で気をつけたいこと
相手の親が同席すると、人数の上でも年齢の上でも、こちらが押される形になりやすくなります。その場の空気に合わせて結論を出すのではなく、持ち帰って考える余地を残しておくことが大切です。
- その場で金額や条件を確定させず、検討のために持ち帰ります。
- 相手側が用意した書面には、内容を確かめるまで署名しません。
- こちらが一人で、相手の親や親族に囲まれる形の場は避けます。
- やり取りはできるだけメッセージや書面で行い、記録を残します。
- 対面で話す場合は、日時・出席者・話した内容をその日のうちにメモしておきます。
複数人に囲まれる形の話し合いへの対応は【男女トラブル】相手が別れ話の場に友人を連れてきた|複数で囲まれたときの対応、会って話すかどうかの判断は【男女トラブル】別れ話の場所をどう選ぶか|会うか・会わないかの判断、記録の残し方は【男女トラブル】別れ話を録音しておくべきか|交際を終える話し合いでの記録の作り方もあわせてご覧ください。
また、相手の親から勤務先や自分の家族に連絡すると告げられたり、何度も自宅を訪ねてこられたりする場合は、話し合いの範囲を超えた働きかけになっている可能性があります。そのような場合は、直接のやり取りを続けるよりも、窓口を整理することを優先した方がよい場面があります。
相手の親に責任を問えるのか
婚約を一方的に解消された側からすると、「親が反対したせいで破談になった」と感じることもあるでしょう。婚約の不当な破棄について責任を負うのは、まず婚約の当事者である本人です。ただし、親の関わり方によっては、親も責任を問われることがあります。
法律事務所の解説で紹介されている裁判例では、結納や結婚式の準備が進んでいた段階で、婚約者の母親が強く反対し、本人が直前になって婚約を破棄した事案について、母親に対する慰謝料請求が認められたものがあります(徳島地裁昭和57年6月21日判決)。
一方で、婚約者の親が結婚に反対していたものの、脅すなどの不当な手段で解消させたわけではなく、本人の気持ちがもともと揺れていたという事案では、親の責任は否定されています(東京地裁平成5年3月31日判決)。
これらを踏まえると、親が反対意見を述べたというだけで親に責任が生じるわけではなく、不当な手段で本人に解消を迫ったかどうかなど、関与の仕方が問われると考えられます。親への請求を検討する場合は、親の言動を示すメッセージや記録が残っているかが重要になります。
解消を申し出た側として、相手の親が出てきた場合
反対に、自分から婚約の解消を申し出たところ、相手の親から慰謝料や費用の支払いを強く求められるという場面もあります。
この場合も、請求の当事者が誰なのかをまず確かめます。慰謝料を請求できるのは、原則として婚約を破棄された本人です。親が「娘(息子)が傷ついた」と述べていても、それが本人からの請求なのか、親が独自に求めているものなのかによって、応じ方が変わります。親自身が負担した費用の清算は、親との間の話として別に整理することになります。
解消に至った理由が正当なものといえるかどうかも、慰謝料の有無や金額に影響します。相手やその家族の言動が解消の大きな原因になっていた場合には、その事情も整理しておくとよいでしょう。焦って支払いを約束してしまう前に、請求の中身を項目ごとに分けて確認することが大切です。
合意を書面にするときのポイント
話し合いがまとまったら、内容を書面に残します。親が関わった話し合いでは、誰が合意の当事者になるのかを特に意識しておく必要があります。
- 婚約の解消と慰謝料・清算の合意は、本人が当事者として署名する形にします。
- 親が支払いを引き受ける場合や、親が負担した費用を清算する場合は、親も署名者に加えます。
- 結納金・費用・慰謝料など、何について、いくらを、いつまでに支払うのかを分けて記載します。
- 書面に記載したもの以外に互いに請求しないという清算条項を入れます。
- 必要に応じて、今後の連絡方法や接触を控える旨の取り決めを入れます。
親だけが署名した書面では、後から本人が「自分は合意していない」と主張する余地が残るおそれがあります。書面の効力については【男女トラブル】交際相手との間で作った書面|『誓約書』『覚書』の効力、すでに口頭で条件を決めてしまった場合の対応は【男女トラブル】口約束で別れの条件を決めてしまった|後から書面にする方法で解説しています。
弁護士に窓口を任せるという選択
相手の親が前に出てくると、話し合いが本人同士の問題から家同士の問題へと広がり、感情的な対立が深まりやすくなります。本人の意思が確かめられない、親の要求が強く話し合いにならない、自分の家族まで巻き込まれそうになっているといった場合には、弁護士が窓口となり、相手の本人と親それぞれとの関係を整理しながら話を進める方法があります。
弁護士が入ることで、誰に対して何を請求できるのか、どこまで応じる必要があるのかを法的な観点から整理し、本人の意思を書面で確かめたうえで合意をまとめることができます。弁護士に任せたときの具体的な流れは【男女トラブル】別れ話を弁護士に任せるときの流れ|本人と会わずに関係を終える、当事務所のサービス内容は【男女トラブル】弁護士が交際関係の解消時のトラブルに介入するサービス|金銭の清算・画像の削除・ストーカー・脅迫まで全国対応をご覧ください。
ご相談をご検討の方へ
婚約の解消に相手の親が加わると、話し合うべき相手と事項が増え、何から手をつければよいか分かりにくくなります。親がどの立場で話しているのかを確かめ、本人との問題と親との問題を分けて考えることが、落ち着いて話し合いを進めるための第一歩です。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


