売上を“10倍”にする会議 スーパーの生産性を簡単にアップさせる1つの方法!
サミットリテイリングセンター 新谷千里
スーパーマーケットのAI活用は、自店が選ばれる理由を明確にし、従業員が実行できる仕組みに結び付けることが重要です。
品揃え、売場提案、作業標準化、数値管理をつなぎ、中小スーパーの利益改善を進める方法を解説します。
目次
AI活用の出発点は自店がお客様に提供する価値
「AIを使いこなせていない」
「何から始めればよいのか分からない」。
AIに関する情報が増えるほど、そんな焦りを感じるスーパーの経営者もいらっしゃるでしょう。
私は、AIの導入を考えるとき、
まず「自店は、誰の、どのような困りごとを解決する店なのか」
を整理することを勧めます。
ここが曖昧なままでは、販促文やPOPを短時間で作れても、伝える内容が他店と似通ってしまうからです。
例えば、「仕事帰りに短時間で夕食をそろえたいお客様」に応える店なら、
調理の手間を減らす商品、
主菜と副菜の組み合わせ、
夕方の品揃えを一体で考えます。
「少量でおいしいものを買いたいお客様」に応えるなら、
小容量の惣菜や
食べ切りサイズの生鮮品が
具体策になります。
AIを何に使うかは、こうした価値を定めた後に考えると、目的がはっきりします。
自店が選ばれる理由をお客様の言葉で説明する

「鮮度が良い」「地域密着」「接客を大切にする」。
いずれも大切ですが、その言葉だけでは、お客様が来店する理由を十分に説明できません。
鮮魚が強みなら、
「魚をおいしく食べたいけれど、下処理や調理に自信がない」
という困りごとに、どのように応えているでしょうか。
下処理の対応内容、
食べ方の提案、
必要な調味料
まで具体化すると、お客様が利用する場面を想像できます。
例えば、実際に対応できる範囲で
「焼くだけで主菜になる味付け魚」
「二人分を無駄なく買える小分け商品」
と伝える。
商品そのものの特徴と、暮らしの中で役立つ理由をつなぐことが大切です。
AI検索が普及しても、店の知名度や信頼が不要になるとは言い切れません。
そのうえで中小スーパーが取り組みたいのは、自店ならではの価値を、確認できる具体的な情報として伝えることです。
経営者の考えを従業員が実行できる売場基準に変える
選ばれる理由が経営者の頭の中にあっても、売場で実現できなければ、お客様には伝わりません。
店長、バイヤー、部門チーフ、パート従業員が、日々の仕事に置き換えられる状態をつくりましょう。
例えば「夕食づくりを助ける店」を目指すなら、次のように仕事を具体化します。
・品揃えは、主菜だけでなく副菜や汁物まで組み合わせて考える。
・売場は、用途や人数が分かる表示と関連陳列を整える。
・作業は、夕方の来店に合わせて製造・補充の時刻と担当を決める。
・管理は、重点商品の欠品、値引き、廃棄、作業時間を確認する。
「もっと売場を良くしよう」という指示を、
「いつ、誰が、何を、どの状態にするか」に変えるのです。
ここで役立つのが3Sです。
・標準化で作業方法と判断基準をそろえ、
・単純化で手順や探す手間を減らし、
・専門化で担当する役割を明確にします。
写真付きの作業手順書や売場の完成見本があれば、新人にも伝えやすくなります。
標準は固定せず、実践の結果を見て改善します。
AIは販促と教育と改善案づくりに活用する
自店の方針と現場の基準が整理できれば、AIに依頼する内容も具体的になります。
例えば、惣菜のPOPを考える場合は、
「おいしそうな文章を作って」だけで終わらせず、
・対象のお客様、
・商品の事実、
・利用場面、
文字数を伝えます。
依頼例は、
①「二人暮らしのお客様向けに、二人で食べ切れる量の店内調理の煮物を紹介するPOP案を3つ作成してください。
②夕食の副菜としての使い方を伝え、各40字以内にしてください。
③提供した情報以外の特徴は加えないでください」
などです。
ほかにも、
・作業手順書のたたき台、
・新人研修の確認問題、
・会議の改善案整理
に使えます。
作成した文章や手順は、現場の担当者が事実と実行可能性を確認してから使います。
AIに渡す情報も選びましょう。
例えば、顧客や従業員の個人情報を含まない集計データや、外部に出してよい商品情報から始めると、社内の運用を整えやすくなります。
店頭とネットで同じ価値を具体的に伝える
店頭で実践している強みは、ホームページや店舗紹介でも分かるように伝えます。
「惣菜が充実」だけでなく、
・どのような商品を、
・どのような利用場面に向けて提供しているか
を説明しましょう。
Googleは、AIを使った検索でも従来のSEOの基本が有効であり、読者に役立つ独自の内容や、見出しと段落による分かりやすい構成を重視するよう案内しています。
AI検索専用の特別な構造化データは必要としていません。[参考資料1]
スーパーの情報発信では、
・実際の売場写真、
・商品の特徴、
・対応できるサービス、
・営業時間など
を正確に掲載します。
改善事例を紹介するなら、
・実施内容、
・対象期間、
・確認した数値
を示すと、読み手が判断しやすくなります。
例えば「ロスが減った」とだけ書くのではなく、
何を変更し、どの期間を比較し、どの基準でロスを計算したかを記します。
実施していない取り組みや、確認できない成果を加えないことが、情報の信頼性を支えます。
成果は営業利益と現場の数値で確かめる
AIでPOPを何枚作ったかだけでは、経営への貢献は分かりません。
最終目標となるKGIに営業利益を置き、日々の取り組みを確かめるKPIを選びましょう。
例えば、夕食提案を強化するなら、
・重点商品の売上と粗利益高、
・夕方の欠品、
・値引き・廃棄、
・製造・補充に使った時間
を確認します。
人時生産性は、粗利益高を投入人時(総労働時間)で割って把握します。
指標は、店舗で継続して記録できるものに絞ります。
売上が増えても、値引きや廃棄、追加の作業時間が大きくなれば、利益改善につながらない場合があります。
販促とオペレーションを一緒に見直す必要があります。
まず一部門・一売場で実践し、結果を確認し、改善し、次の計画に反映する。
D-CAP(Do→Check→Action→Plan)を回して、有効だった方法を他の売場にも広げていきましょう。
最初の一歩は一つの売場の改善から
最初から全社一斉にAI活用を進める必要はありません。
まずは、伸ばしたい一つの売場について、次の三つを店長やチーフと確認してください。
・どのお客様の、どのような困りごとを解決するのか。
・その価値を、品揃えと売場と作業でどう実現するのか。
・取り組みの成果を、どの数値で確かめるのか。
この答えがそろえば、AIに任せたい仕事も見えてきます。
経営者が示した方針を、従業員が実行し、改善できる仕組みにする。
その積み重ねが、お客様に選ばれる売場と、利益を残せる店舗経営につながります。
スーパーのAI活用でよくある質問
Q: AIに詳しくない経営者は何から始めればよいですか
改善したい売場を一つ選び、対象のお客様、提供する価値、確認する数値を決めてください。
そのうえで、POP案や作業手順書の下書きなど、担当者が確認できる業務から試しましょう。
Q: AIを導入すれば利益は増えますか
導入だけでは判断できません。
販促による粗利益の変化と、値引き・廃棄、作業時間、利用費用を確認し、店舗全体の利益に役立っているかを検証します。
スーパーの利益改善と現場の仕組みづくりのご相談
サミットリテイリングセンターでは、スーパーマーケットの利益改善、売場づくり、作業標準化、人材育成を支援しています。
自店の強みを売場と日々の仕事に結び付けたい経営者の方は、下記より事業内容をご覧ください。
■サミットリテイリングセンター公式サイト https://summit-rc.com/
■新谷千里のプロフィール https://mbp-japan.com/osaka/summit-rc/
【参考資料】
1 Google Search Central Optimizing your website for generative AI features on Google Search
https://developers.google.com/search/docs/fundamentals/ai-optimization-guide
参照日 2026年10月23日


