これからの住まい

福味健治

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テーマ:【賢い家造り】

進歩する速度が遅い住宅

車や電化製品は毎年の様にモデルチェンジを行います。その都度デザインが洗練され研ぎ澄まされて行きます。それに比べ住宅のデザインは進歩の度合いがゆっくりしています。
大きな買い物ですから、失敗出来ないという意識が働くのも当然ですが、それ以前に文化としての連綿と続く生活様式がある様に思います。現代の家からタタミは消えても、応接セットの生活が主流にはなりません。タタミでもフローリングでも、ごろんと床に寝そべる生活が日本人の生活なのです。
日本人は家に入ると靴を脱ぎます。日本人にはごく普通の生活スタイルですが、靴下を下着と考える西洋の人にとってはとても奇異に映る様です。世界的に見て地面から床を上げ、靴を脱ぐ生活スタイルは少数派の様です。

新しいものに興味のある日本人

生活スタイルは旧体依然としていますが、決して伝統を守るのが好きな民族でもありません。一概に新しい物好きです。文明が西から入って来て、東の端の日本で止まります。入って来る新しい物を日本人は自分達流に上手に昇華します。
生活スタイルはあまり変化しませんが、これからはもっと便利な住まいになるでしょう。
今でも、徐々にですが、技術革新は進んでいます。例えば、夏場家に帰ると真っ先にすエアコンをつけますが、最近のエアコンはスマホから操作できる様になっていて、家に帰る前からエアコンのスイッチを入れる事が可能になっています。
お風呂もスマホでお湯張りが出来る様になっています。玄関ドアの施錠もスマホから確認でき、開いていれば閉める事も可能です。照明も随分前からスマホで操作が出来る様になっています。
家の中の家電の操作は、スマホから行う時代がすぐそこに来ています。

過去に戻るライフスタイル

最近の間取りを見ていると、空間をオープンにする傾向が見られます。昭和40年代の高度成長期に造られた住宅は、個室を多く取るのが主流でした。四畳半でもいいから個室が欲しい時代でした。それは、戦後個人主義が輸入され、欧米風のライフスタイルに憧れを持つ世代が、子供には子供部屋をと、個室を与えたのに始まります。与えられた子供はいい迷惑で、個室をどの様に使って良いか分からず、引篭もりの温床になってしまいました。
子供には子供部屋を与えたら、勝手に成長してくれると考えたのは、親世代の幻想でしかなかったのです。日本人は縄文時代からずっと独自の分化を築いてきました。それは親は子をかまい、子は親を思い続ける絆の様な関係です。欧米の様に生まれた瞬間から個室を与える様な習慣はありません。親子べったりの関係で子をかまい続け、物心がついて来たから「さあ個室に入れ」と云っても出来ないのです。
その辺の親子関係が、最近の間取りでは、改善される方向にあります。個室にこだわらず、かといってプライバシーは確保すると云った新しい間取りの形態が生まれつつあります。これは、戦後の欧米化したライフスタイルから、縄文時代から続いているライフスタイルへの回帰の様な印象を受けます。
文明は明治維新の様に劇的な変化を起こしますが、文化は一夕一朝には変化しません。親子の関係が日本的であるならば、欧米の様な個室主体の住宅ではなく日本独自の間取りが模索されても良いのではないでしょうか。

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福味健治
専門家

福味健治(一級建築士)

岡田一級建築士事務所

どうして良いか判らない貴方の為に、私はここにいます。まずは、お友達になりましょう。そして悩みや夢を語り合いましょう。理想の家造りはそこから始まります。私は友達を裏切りません。無料相談大歓迎。コラム必見

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