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福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(ふくみけんじ) / 一級建築士

岡田一級建築士事務所

コラム

エアコン無しで、家の中を外気温よりも、低くする方法

2018年8月14日

テーマ:【エコ住宅】

コラムカテゴリ:住宅・建物

普通の家は、エアコン無しに外気温よりも低くはならない

前回、太陽の熱を家の中に入れない方法を、コラムにしましたが、それだけでは涼しい家にはなりません。蒸し風呂状態を避ける事が出来ても、外気温以下にはなりません。外気温が35度であれば、室温も35度になります。まして、家の中にはテレビ・冷蔵庫等の熱源がありますし、人間そのものも36度の熱を発散しています。
エアコンなしでは、室温を下げる事は出来ないのでしょうか。エアコンを用いずに室温を下げる方法はまだあります。

室温を外気温以下にする方法

床下は室内よりも温度が低いのが一般的です。ネコは涼しい場所をよく知っていて、夏の盛りには縁の下で昼寝しています。何故床下は涼しいのでしょうか。
これは、地中の温度が年間を通じて16度と一定している為です。真夏の火傷しそうな砂浜でも10cmも掘れば冷たく、ひんやりとした砂を触る事が出来ます。山の中の川の水が、真夏でも驚く程冷たいのも、地中温度が16度と一定している為です。
この16度の冷気を室内に取り込めば、外気温よりも室内温度を下げる事が出来ます。ただし、単に床下の空気を室内に取り込むだけでは、床下と室内の体積の割合から云っても、床下の方が先に暖まってしまい、効果が続きません。もう一つ工夫が必要になるのです。
砂浜の例を先に書きましたが、土は良好な断熱材で、あまり熱を貯め込む事はしません。ですので、熱を貯め込む事の出来る素材を、土に接して置いてやり、ため込んだ熱を室内に取り込む作業が必要になります。建築素材の中で熱を貯め込む安価な素材と云えば、コンクリートがあります。コンクリートを床下全面に打設すれば、湿気対策・防蟻対策にもなります。

床下の空気を積極的に取り込む基礎断熱

床下は通常は床下換気口で、外気とつながっていますので、そのままでは外気の熱も部屋の中に取り込んでしまいますので、床下換気口を塞ぐ必要があります。しかし、ただ塞いでしまうと、床下に湿気が籠りますので、強制的に室内と床下が空気が循環するシステムが必要となります。
システムと云っても大がかりにしてしまえば、性能は向上しますが、コストが上がります。コストを上げずにコスパを上げる事がエコ住宅に要求される事です。下の写真の例は、掘りごたつの側面に24時間換気扇を設け、室内の空気を床下に送り込んでいる例です。

送り込まれた空気は、床下を通るうちに、冷えたコンクリートに熱を奪われ、涼しい空気となって床に設けられたガラリから室内にもどります。

ごくささやかな循環システムですが、それでも、お盆前後の真夏でも、午前中はエアコン無しに快適な生活をする事が可能です。

新築であれば全館空調も可能


同じ発想で新築すれば、もっと効率的なエコ住宅が、ローコストで可能になります。

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