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福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(ふくみけんじ) / 一級建築士

岡田一級建築士事務所

コラム

ビフォーアフターの匠さんって何者???

2018年5月7日 公開 / 2018年8月18日更新

テーマ:【カフェテラス】

コラムカテゴリ:住宅・建物

ビフォーアフターは見世物にしか見えない

ビフォーアフターを見てていつも不思議に思うのが、困ってる人の前に現れる「匠さん」。颯爽と現れて建物を一目見て、建築主不在の現場を思いっきりぶち壊して行きます。
あの「匠さん」は何者なのでしょう???
実は知り合いも何人か出演していまして、それらの方はことごとく設計事務所の所長さん(建築家)でした。
例外もあるでしょうが実際には設計事務所の所長さんが、仕事として金槌や鋸を使う事はありません。
名曲を奏でてるオーケストラの指揮をしていた小澤征爾が、突然タクトを放り出してラッパを吹き出すようなものです。
いくら名指揮者と云ってもプロの奏者を差し置いて突然身勝手な行動はとらないでしょう。

ビフォーアフターは見ていて参考になるか?

ビフォーアフターの建築手順は実際のリフォームからは逸脱した経過を辿りますのであくまでも演出されたショーだと思っています。ですのであまり参考にしない方が良いかと思います。
素人さんが見れば色々なアイデアを楽しめて面白いかなとは思いますが・・・匠さんの造る素人の工作を見て感動する人が本当にいるのでしょうか。
また、デザインやアイデアはその道のプロであれば誰でも一家言持っています。ですのでどうしても、自分ならああするこうすると批判的な目で見てしまい、楽しんで見ることが出来ません。
また、数値で理解し易い耐震性能・温熱性能と云った情報が欠落していますので参考にも出来ません。
仮に南の庭に向けて吹き抜けの大開口を設けて「なんということでしょう・・・」と云われても、夏場に汗だくのお施主さんから「なんということでしょう!!!」と云われないかなぁ・・・と不安に思ってしまいます。

本当の建築工事は建築主が主役です

何も言わないで、完成した現場に建築主を招待して「さあどうぞ」みたいな事は絶対にしません。可能な限り打ち合わせを行い、質疑と承認を繰り返しながら現場は進行して行きます。建築主が忙しい場合や専門性が必要な判断に迫られた場合に建築主の代理人である建築士が判断し現場を進めて行きます。
ビフォーアフターはタイトルの前に劇的とつけているので、劇的にする演出が必要なのです。実際はもっと地道に一つ一つ手順を踏んで現場は進みます。

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