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福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(ふくみけんじ) / 一級建築士

岡田一級建築士事務所

コラム

家ばかり考えていても家は出来ない

2018年4月24日

テーマ:【賢い家造り】

コラムカテゴリ:住宅・建物

ハウスメーカーや建売業者の犯すミス

良い家造りとは、建てられる土地の気候風土に根ざす家造りです。
たとえ話しになりますが、家の絵を描こうとします。家の勉強をして一生懸命家の絵を描くのです。家そのものは満足の行く家を描けたとします。その絵は満足の行く絵でしょうか。
家は綺麗に描けているのですが、周りの景色が描かれていません。土地も描かれていないので陰影も描かれていません。
物足りなさを感じませんか?
気候風土に根ざす家とは、周辺の景色に馴染む絵になる家を指します。
和風の立派な数寄屋造りの家は、閑静な住宅街の中にあってその美しさが際立つのです。都会のビルの片隅に建っていれば古ぼけた汚い土地値しか評価されない古家です。
閑静な街並みにトリッキーな家が出現すればまことちゃんハウスの様な評価を受けかねません。

そう考えれば、土地が無ければ建物のプランなんて計画しても意味がないのは、誰が考えても必然かと思うのですが、ハウスメーカーや建売業者は、間取り例の中から気に入った間取りを選びなさいと言う営業を展開しているのです。

利便性やインフラ性能は建築では対処できない

建物は建てられる土地の気候風土に根ざすものです。
たとえその土地が変形敷地でも、狭小敷地でも建築主の要望を満たす回答は見つかります。しかし、学校が近いとか買い物に便利とか、駅や幹線道路に近いと言った要望は建築ではどうする事も出来ません。
眺望が閉ざされた土地でも、限られた空間の中で自然を感じる設計をする事は可能です。時の移ろい季節の移ろいを感じる家を作れます。平屋が良いか二階建てや三階建てが良いかと云った問題は、建てる土地によって答えが変わるモノなのです。構造も同様に木造が良いのか鉄骨造が良いのか鉄筋コンクリートにするのか土地があって初めて結論が出る話しです。断熱性能にしても、どの断熱材が良いかと云う問題ではなく、その土地にどの断熱材が最も適しているかと考えるべきなのです。

建築条件付の建物は土地の性能を無視している

土地と建物をセットで販売する建築条件付の土地がありますが、業者の利益が優先し土地の性能を活かしきって家を建てられる事がありません。一つの開発団地を例にしますと、同じ地域にあるのですから気候風土は同じではないかとなるのですが、南向きの家、北向きの家だけでも建物に使用する材料は変わります。土地が60坪以上ある土地であれば北向きの家でも南に庭を設け南側に大きな開口を設ける事が出来ますが、40坪前後の土地では南側に庭を設ける余裕がなく北側の道路に面した壁に大きな開口を設け採光を図らなければなりません。その為に北向きの家と南向きの家では性能の異なるサッシュを用いないと、その土地の条件を克服出来たとは言えなくなるのです。
しかし、そう云った一団地で異なる仕様の家を販売すれば混乱が生じます。「自分の家はAと云うサッシュが入っているのに何でお向かいのサッシュはBなの??」と云った問題が随所に出てしまうのです。ですので標準仕様書で家の性能を統一して公平化を図るのです。これは、その土地の条件なんて何も考えず、単に混乱を避ける為の業者側の都合でそうなってしまっているのです。
これは部材だけに関する話しではありません。地盤の性能も宅地毎に異なりますが基礎の仕様は同じです。構造も一つの構造に限定されています。間取りにも制約があります。建築条件付の土地では自分の理想とする家は建てられないと考えて間違いありません。

まずは土地探しをしよう

家造りを思い立てば、まずは家をさておき、自分をどの様な環境に置きたいのかを考えて土地探しをしましょう。
どんな土地でも構いません。こんな変形した土地に家が建てられるの??と思う様な土地でも、土地さえあればなんとかなります。その為に私達建築家がいるのです。セルフジャッジしてこの土地はダメだと決めつけず、お気軽にお問合せ下さい。
ラフプランで宜しければ、どの様なものが建てられるのかプランいたします。

この記事を書いたプロ

福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(岡田一級建築士事務所)

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