グルーミングルームのある間取り
セルフジャッジによる行き違い
注文住宅では、設計図書が不足していたり不明確であれば現場は混乱します。簡単な間取り図面ではどの様な基準を元に、建物を建てて良いか分からない為です。
日本には建築基準法がありますので、建築基準法通りに建てていれば罰則を受ける事は有りませんが、建築基準法通りでは、今の日本人が住宅に求める性能を満足させる事が出来ないのです。
例を挙げますと、建築基準法には断熱材の規定がありません。極端な話しをすれば住宅については断熱材が入っていなくても合法なのです。
また、地盤が固ければの条件付ですが、基礎に鉄筋を入れる義務もありません。地盤の固い柔らかいは設計者の判断ですので、事実上は無筋コンクリートの家でも違法ではないのです。
現場が混乱しない為に実施設計図書があります。
実施設計図書は簡単な住宅でも40~50枚程度の設計図から構成されています。それぐらいの情報量が無いと簡単な住宅ですら、建てる事が出来ません。
それでは、注文住宅ではない建売住宅は、それだけの図面と必要としているかと云いますとそうでもありません。簡単な平面図・立面図・仕上げ表程度の図面で建物は出来上がっていきます。なぜ出来上がるのか説明しますと、各工事業者が今までの経験を元にお互いの職種に不具合が生じない様にカバーしあって工事を進めていいるからです。
それをよ良い言葉で表現しますと「阿吽の呼吸」となります。設計図書に表現しなくても、いちいち言葉にしなくてもチームワークでカバーしてしまう方法です。
悪い言葉で表現すると「馴れ合いの現場」となります。各自が今までの経験でこんなものだろうと云うセルフジャッジを行う為、建築主の要望とは違った建物になってしまうトラブルの元がここに潜んでいるのです。
どれだけチームワークの良い業者さんを集めた工務店さんでも、建築主の家を建てるのは初めての経験です。今までこれで問題はなかったからと馴れ合いで工事を進められる建売住宅と、注文住宅では家造りの発想が根本的に違うのです。
お金の無駄だからと、設計図書の枚数を減らすのは、建売住宅の発想で、毎回が初めての経験である注文住宅の家造りには、設計図書がないとトラブルの原因となります。
必要設計図書
代表的な設計図書には以下の様なものがあります。
特記仕様書:図面では表現できないその家だけの仕様を列記した書類です。
標準仕様書:ある規格に適合した内容を網羅した書類です。例えますとフラット35の技術基準等が該当します。
敷地求積図:敷地の広さや各辺の長さを表現した図面です。
仕上げ表:建物の内外の仕上げを表現した図面です。
建物求積図:建物の面積や部屋の広さを表現した図面です。
建物配置図:建物と敷地の関係や敷地と道路の関係を表現した図面です。
各階平面図:の間取りの法的な合法性を示した図面です。
立面図:建物の外観を表現した図面です。
断面図:建物の各部分の高さを表現した図面です。
平面詳細図:間取りの各部分の納まりを表現した図面で平面図に表記出来ない詳細な内容を表現した図面です。
断面詳細図:建物の各部分の仕上げ材から下地材・構造材に至るまでを表現した図面です。
階段詳細図:階段の割り付けや詳細な納まりを表現した図面です。
天井伏せ図:天井の仕上げや照明・空調等の設備機器の位置を表現した図面です。
建具位置図:建具の位置を表現する図面です。
建具表:建具位置図で示された建具の仕様や寸法を表現したものをまとめた図面です。
建具詳細図:建具廻りの詳細な納まりを表現した図面です。
展開図:室内の壁面を表現した図面です。天井高さや窓の高さ、コンセント位置等を表現した図面です。
各部詳細図:特に説明の必要な建物の部分を拡大表現して、間違いの無いように施工者に伝える為の図面です。
外構図:門や塀の配置を表現した図面です。
外構詳細図:外構の建物の付属物を詳細に表現した図面です。
構造特記仕様書:構造に関して技術基準を表記した図面です。
基礎伏せ図:基礎の配置や仕様・形状を表現した図面です。
基礎詳細図:基礎梁やスラブを詳細に表現した図面です。
土台伏せ図:土台の配置を表現した図面です。
各階床伏せ図:各階の構造材の配置を表現した図面です。
軸組図:各通りの柱・梁の配置や筋交いの向きや位置を表現した図面です。
架構図:柱・梁の緊結方法や、梁同士の接合方法を各部毎に表現した図面です。
柱壁伏せ図:柱の引き抜き防止用金物の配置等を表現した図面です。
水平構面図:耐力壁の配置や耐力壁のバランスを表現した図面です。
各部構造詳細図:一般図では表現できない構造の詳細をまとめた図面です。
設備特記仕様書:設備の技術基準を表現した図面です。
設備系統図:各設備の縦系統の流れを表現した図面です。
設備配置図:建物外部の設備の取り込みやメーター類の位置を表現した図面です。
各階設備位置図:各階の設備の位置を表現した図面です。
設備詳細図:各設備図面で表現出来ない設備内容を表現した図面です。
図面は一枚に収まり切れない図面もありますので、40~50枚程度になるのが一般的です。建売住宅でしたら多くても十数枚の図面で、あとは自らのセルフジャッジで、良く云えば阿吽の呼吸、悪く云えば馴れ合い、で建てられていくのです。後々の紛争を避けようと思えば、上記に示した程度の図面は最低限確保する様にして下さい。そうする事が仮に紛争が発生した場合、建築主がやり直し、又は損害賠償を要求出来る唯一の根拠となるのです。
そうしなかった為に悲惨な結果となって、私に寄せられた相談の内容を抜粋してホームページに載せていますのでご参考にして下さい。
http://www.green-h.org/oadon/sippai.html
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