木造耐火建築物を建てています。
工事業者紹介サイトはグルメサイト・旅行サイトとは違う
最近新聞広告などで、インターネットでの工事業者紹介サイトが掲載されています。旅行業者紹介サイトとか、グルメ情報サイトとかのお気軽な紹介サイトの体裁を取っています。
説明されている長所として
①手軽に専門業者を見つける事が出来る
②匿名で相談できる
③優良業者の集団である
④競争見積もりが出来る
等々を挙げています。一見良い点ばかりに見えますが、果たして本当なのでしょうか。これらの紹介サイトは殆どが営利企業が行っています。旅行業者紹介サイトとかグルメ情報サイトも同じ営利企業の運営ですが、これらの業者は薄利多売で実績を伸ばしています。手数料も数%の範囲内で広告経費等を考え合わせれば妥当な金額かと思います。
しかし、工事紹介サイトはリフォームにしても新築にしてもとても薄利多売で成立するほど市場が大きくありません。グルメサイトや旅行サイトは一人が二・三年に一回から年に数回と云う頻度で利用しますが、工事業者紹介サイトは十数年または数十年に一度の頻度です。それを営利目的で事業化しようとなると手数料も莫大な金額となります。パーセンテージで云いますと殆どのサイトが業者に対し10~15%程度のバックマージンを要求しています。1000万円の工事であれば100~150万円の手数料がサイトに入る仕組みです。とても薄利多売とは言えません。
長所は信用できるのか
利用メリットがあるならその金額でも惜しくはないと云う考えもありますが、果たして説明されている長所がそのまま信用できるのでしょうか。
①手軽に専門業業者を見つける事が出来る
業者を集積させて検索しやすいように構成されているサイトですからこれは一つのメリットではあります。
②匿名で相談できる
匿名性を謳っていますのでこれもお気軽と云えばお気軽です。しかし相談を受ける立場としまして、匿名相談の場合相談内容に疑問点も多く、突っ込んだ回答をしようと思えば、状況写真や地図・設計図等を確認したくなるものです。そうでないとどうしても当たり障りのない、役に立たない回答になってしまいます。また、技術力には関係の無い文章力で回答に差が出てしまう為、本当に信頼できる業者なのかどうか判断が出来ません。
③優良企業の集団である
紹介サイトが厳選した優良企業であると宣伝しているサイトが多いですが、業者の立場としてこれも疑問です。何故ならば特に厳選された訳でもないのに、電話勧誘で「本サイトに登録しませんか?登録料は無料ですので御社を世間にアピールするチャンスです」と云った内容の電話が複数サイトから週に一度は入ります。無料ならば掲載はさせてもらいますと云って名前は出していますが、積極的に活用しているサイトは殆どありません。理由は前述した紹介手数料が莫大でそのサイトに利用料を払うなら、建築主にその分ディスカウントしてあげた方が余程人間関係が上手くいく為です。
④競争見積もりが出来る
競争見積もりは設計図書が完成していなければ発注できません。条件提示だけしてそれぞれの業者に提案させると各社自分の得意分野の仕様を押し付けてきます。例えば同じ条件提示をしているのに、断熱材はグラスウールで十分とか少し高くなるが吹き付け断熱でないとダメだとか、素人にはジャッジ出来ないセールストークで顧客を翻弄します。結局のところコストパフォーマンスの良さとか技術力とかで業者が選ばれるのではなく、営業力で決まってしまうと云うのが紹介サイトの実情です。
旅行サイトやグルメサイトの様にお手軽に利用できて、たとえ失敗しても話しのネタに出来る程度のものでしたらいいのですが、リフォームにしても新築にしても人生を左右する大きな買い物です。業者を見つける手段として利用するのは良いでしょうが、そのままそのシステムに乗っかると余計な出費を計上することになります。
業者サイトの上手な使い方
匿名性を利用して相談する事は可能です。殆どのサイトの場合、利用者からは業者の名前が閲覧できるようになっています。何度かやり取りして信用出来そうだ、話しが合いそうだと思えば、直接その業者のサイトから相談メールを送られる事です。そうすれば紹介手数料が不要になります。本来紹介サイトは営利企業が行う性格のサイトではありません。もっと公共性の高いNPO法人とかの非営利集団が行うべき事業です。営利企業が行ってしまうため無理が生じ矛盾が発生してしまいます。