グルーミングルームのある間取り
これは実際にある建売住宅の間取りです。近鉄奈良駅からバスで10分ほどの場所で、土地の面積が123㎡ちょっとで価格が1480万円。35年返済だと月々3300円。ボーナス10万円弱の計算です。同じ地域の借家で、同じ程度の家だと家賃は7万円前後です。
土地の値段を差し引けば、建物にどのくらい費用を掛けているのか疑いたくなる価格です。広告しなくても直ぐに売れそうな価格ですが、広告を出しているところを見るとそうでもないのでしょう。
建売住宅は不特定多数の人を対象にするため、冒険的な間取りを提案出来ません。この間取りも30年前と殆ど変りません。30年前でもユニットバスはありましたし、システムキッチンもありました。30年前の間取りを旧態依然と繰り返し使っている事が売れない理由ではと思います。今新築であるという事は、30年先も恐らくこの世に存在しているでしょう。という事は30年後には60年前の間取りを踏襲している家となるのです。そんなものに不動産価値があるはずもありません。
具体的に間取りを見ていきましょう。まずは玄関ですが、今の時代は下駄箱では靴が納まりません。30年前なら普通に下駄箱がありましたが、今はシューズクロークが必要です。最近は服の数と同じくらい靴が氾濫しているのです。また、シューズクロークはベビーバギーの様な屋外で使用するけど屋内に収納するモノを保管する役目もあります。シューズクロークが無いと屋外に鋼製物置を置くことになります。次に意味不明の和室。この和室は何の為にあるのでしょうか。リビングに収納が全くないので、ここは多分納戸にしかなりません。一階で一番明るい部屋が納戸代わりです。二階も主寝室と子供部屋が二つの想定でしょうが、この間取りでは子供を引きこもりにしてしまいます。最近の子供部屋は意図的に居心地を悪く設計します。二階の個室も恐らく洋服と家具で溢れる状態になるでしょう。扇風機やストーブと云った季節モノは何処に収納するのでしょうか。圧倒的に収納不足で今でも魅力のない間取りですが、今後30年以上もこの間取りで過ごす事はとても耐えられないでしょう。値段を下げても売れない原因は万人受けを狙った間取りにあるのは間違いありません。
これならば、30年前の中古住宅を購入して、自分たちの住みやすい様に改造する方が余程快適に暮らせるのではないでしょうか。
住まい再好築とはhttp://mbp-japan.com/osaka/oado/column/27871/