木造耐火建築物を建てています。
阪神間には名は知られていませんが、数寄屋普請の名建築が数多く残されています。中には国宝級の名建築もあるのですが、それが今危機に瀕しています。
数寄屋普請の殆どが築後数十年を経過し、建て替えの時期を迎えているのです。数寄屋普請でもメンテナンスは必要ですが、所有者の代が変わり経済的な事情もあってか、安易なリフォームで建物の価値が失われています。
リーフォームで見た目は小綺麗になっても、そこには数寄屋普請で培われた芸術的価値がありません。
ほんの数年もすれば、リフォームした箇所も古びて、価値のないただの古家になり果てます。
こう云ったリフォームは文化の荒廃に他なりません。
お金を掛けて、贅沢な材料を用いてリフォームすることを勧めているのではありません。
利休の茶室として知られる妙喜庵の茶室待庵を見ましても、贅沢な材料は一切使っていません。どこにでもある平凡は素材でも組み合わせ、人が工夫を凝らす事によりお金では推し量れない無限の価値がうまれるのです。
そこには、その家に対する文化的な思想が必要なのです。別な言い方をすれば様式とか伝統とか文化に根差したデザインが要求されるのです。
それらを踏まえて、リフォームすることで既存の建物の価値を高め、古くなっても味わいが増す家になるのです。