マンション市場の今後

福味健治

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テーマ:【賢い家造り】

マンションが定着し始めたのは、昭和40年代前半です。意外かも知れませんが古いマンションでも築50年を超えるマンションは殆どありません。鉄筋コンクリート造の税法上の耐用年数は60年です。構造上の耐用年数はこれよりももう少し長いかと思いますが、経済的耐用年数(価値があるかないか)は逆に60年よりも短い様です。
マンションが爆発的に建てられ出したのは、昭和50年代に入って区分所有法と云うマンションの土地に対する所有方法を明記する法律が確率されてからの話しです。それらのマンションがそろそろ経済的耐用年数を迎えようとしています。
今は、受給のバランスが取れていますが、爆発的に建てられ出したマンションが今までと同じ割合で中古市場に出回ることになると、パイが大きくなる分供給圧力が高くなり、受給バランスが崩れます。
アベノミクスが成功したとしても、今後の中古マンションは値下がりして行くでしょう。昭和50年代のマンションは都心の一等地に多く存在します。都心部のインフラが整備された優良物件を手に入れるチャンスが広がります。
但し、資産として運用を考えるには、リスクが伴います。区分所有法は不動産としての流動性を阻害する面を持っています。例えば建替え等の問題が発生した場合の、事業主となる管理組合の権限よりも、一人々々の所有者の権利の方が強く建替えが殆ど不可能な事です。何も無ければ問題は表面化しませんが、万が一建物が地震等で被害を受けた場合、所有者全員の合意が無ければ建替えが出来ません。阪神大震災の時にも同様の問題が社会問題となりました。
個人で住む分には、どこにいても地震のリスクは同じですが、事業資金を借りて資産運用する場合は大きなリスクとなります。マンションの地震被害の不幸なところは、部屋によって被害の度合いが異なる事です。ある部屋は充分住めるのに、一部の部屋に住めなくなるほどの被害が出た場合、建物全体が危険と判定され事実上そこに住めなくなることにあります。
自分の不動産でありながら、自分だけではどうする事も出来ないジレンマがマンションには伴います。

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福味健治
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福味健治(一級建築士)

岡田一級建築士事務所

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