グルーミングルームのある間取り
間取りや仕様を自由に選べますと宣伝しながら、建築条件を付けている土地の売買に関するトラブル相談を受けました。
「自由設計が売り文句の一つに挙がっていながら、三回程プラン変更をお願いしただけで、四回目からの変更は有料になる。そんな話しは初めから何も聞いていなかったので、不信感が募り購入を白紙に戻すと云ったところ、手付金(150万円)を没収すると云われた」との事です。
建築条件付の家の多くの契約形態は、売買契約です。一般の建築工事は請負契約です。
この売買契約と請負契約には大きな違いがあります。
●請負契約とは
設計図書や仕様書を元にして、その通りの家が建つことを請け負うのが請負契約です。ですので工事契約がなされた時点で、工事業者は契約金を受け取る事が出来ます。その他契約約款には工事途中の問題に関する取り決めが多く示されています。
●売買契約とは
出来てあるモノを見て、気に入れば購入する。と云うのが売買契約です。普通の買い物の殆どが売買契約です。車とか宝石とか現物を見て気に入れば買うと云うものです。マンションや建売住宅も同様です。気に入れば買うと云うのが原則です。では、建築条件付の土地・建物の場合はどうかと云いますと、多く場合は土地と建物をセットにして、売買契約で売っています。請負契約ではありませんので、現物がまだ無い時点で売買契約を締結することが出来ません。
と、ここまで書けば売買契約の方が、買う側にとって有利かなと思うのですが、実際にはそうなっていません。造る側に立って考えれば判る事ですが、購入希望者の為に一般的な間取りから、希望者に特化させた間取りを造る訳ですから、もしも途中で希望者の気が変わってしまえば、一般受けしない不良在庫を抱える事になってしまいます。そこで手付金を求め希望者の購入意思を担保しているのです。この手付金の性格は、非常に曖昧なもので、手付金に関する取り決めを文書にして、交換しない限り都合の良い解釈をされる可能性があります。
今回のお話しは、まさにトラブルの典型で、業者側からすれば施主都合の解約だから没収は当然となってしまうのです。事前に無料プランの回数を提示しなかった業者にも非はありますので、全額没収になるかどうか話し合いになりますが、話しが平行線を辿れば、出るところに出て話をつけようと云う事になり、別な費用も発生する事が予想されます。それらを考えると、購入希望者が泣き寝入りするケースも相当あると思われます。
土地購入の際、建築条件付の物件のトラブルは、条件なしの場合と比較して格段に多い事を知っておくべきです。