作業服を着た営業マン
バブル崩壊後、公園でよく見かけたブルーシートとダンボールの小屋。最近はすっかり見かけなくなりました。太平洋戦争直後の都市では焼け残りの木材を寄せ集め応急の掘っ立て小屋が立ち並びました。掘っ立て小屋でも昭和40年代まで人が住んでいた記憶があります。こう云った応急の住居の総称をバラックと云います。
語源は、英語の簡易住居を指すバラックスから来ている様ですが、バラックスの語源を辿っていくと、イタリア語のコルバラカ(小屋)に繋がり繋がります。イタリアと云えばフィレンツェでバロック芸術が発祥していますので、もしかするとバラックはバロックにつながるかも知れません。
バロックと聞いて有名なのは、バロック音楽です。バロック音楽の特徴は8分音符や16分音符が、五線譜上で、山を造り谷を造り、全体的に見渡すとガタガタした印象を受ける事です。
そのガタガタしているのが由来でバロック建築と云う様式もあります。キリスト教の教会の尖塔によく見られる小刻みにガタガタしたうねりが特徴のバロック建築ですが、何故か人の心に安らぎと平穏をもたらします。バロック建築は様式美として広く認知されていて、貶めるつもりはサラサラ無いのですが、バロックとバラックが奥の方で繋がっていると考えると何故か愉快な気持ちにもなります。
逆にバラックも、建築の可能性を追求する一つの表現方法としてデザインすれば、バロック建築に近づけるかも知れません。利休の茶室に見られる様に、名建築は必ずしも良い材料で造られているとは限らないからです。粗末な材料でも組み合わせや、デザイン一つで名建築に昇華させる事が建築の醍醐味でもあります。