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コラム
数寄屋住宅
2013年4月23日 公開 / 2014年5月23日更新
先日、谷崎潤一郎も訪れたことのある、古い家の調査に入りました。
大正末期から昭和初期に掛けて建てられたと思う数寄屋です。数寄屋とは茶室の思想を取り入れた住宅の事で、華美な装飾を嫌い洗練された内面的な美を追求した家です。
書院造りの様な格式や様式と云った固定的な概念が無く、施主や大工さんが自由な発想で、客をもてなす趣向を凝らします。
住まう人の都合で若干の改造はしてあるのですが、それでも尚数寄屋建築の姿を現代に伝えています。
クライアントの依頼は、今風に快適な住まいに改装して欲しいとの事ですが、この家はもの凄い。
修復はする気になっても、改装なんてとても勿体無くて出来ません。耐震性や温熱性は今の家と比べると劣りますが、それには変えられない日本人の心が宿った家です。
和風住宅が建てられなくなった背景には、耐震性能・温熱性能との戦いに敗れた背景があります。夏を旨とする日本の家屋は、開放性に富み自然と一体化する事を拠り所にしています。そのことが温熱性能を悪化させ、耐震壁の少ない地震に弱い家にしています。
耐震性能は、技術的に解決出来ても、温熱性能は開口部の大きさに直結します。まして気密性能の悪い木製建具でないと、意匠的に許容出来ません。居間や応接間なら開き窓にして木製建具でも気密性を高めることは出来ますが、和室になると隙間だらけの引き違い窓になってしまいます。
改修工事をするなら、夏の住まい方と冬の住まい方を分けるような提案が必要になるでしょう。
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