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福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

福味健治(ふくみけんじ) / 一級建築士

岡田一級建築士事務所

コラム

グループホーム

2013年1月31日

テーマ:【カフェテラス】

コラムカテゴリ:住宅・建物

昨日グループホームを始めたいと云う方から問い合わせを頂きました。老人介護施設はまだまだ不足しているのですが、介護保険の適用基準が年々厳しくなり、最近の新規開業のハードルはどんどんと高くなっています。電話主はその辺の事情をあまりご存知の様子でもなく、大阪南部に50坪程度の空家があるから改造して10人程度の老人を収容する予定だと言います。

50坪程度では、10人も収容出来ません。せいぜい5〜6人です。介護人の数は10人収容するのと同じ数必要ですから、採算がとても合いません。行政も一旦介護事業を認可すれば、早々に廃業されても困るので、認可に神経質になります。

数年前グループホームで火災が発生し、入居者が多数死亡してから消防署の指導も厳しく、スプリンクラーが義務化されています。簡易スプリンクラーでも数百万円しますから、幾ら中古住宅を改造しても、新築住宅一件分以上の出費を覚悟しなければなりません。

話しを聞いていると、事前に行政と相談している様子もなく、ただただ不動産屋さん的な発想で、初期投資幾らならこれだけ儲かると云った、介護保険目当ての事業を行おうとしている様子でしたので、丁重にお断りしました。介護事業はまだまだビジネスとして確立はされていません。今まで介護事業に携わっていた事業者で、介護に情熱をもって取り組んでおられる事業者でないと長続きしません。

施設不足は事実で、新規参入の事業者が増えるのは好ましいのですが、質の低下は防ぎたいものです。

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福味健治

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福味健治(岡田一級建築士事務所)

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