木造耐火建築物を建てています。
何故、日本人の生活は苦しいのでしょうか?
それは、住宅ローンに収入の多くを廻している為だと云われています。
欧米諸国の住宅に比べ、日本の住宅は耐用年数の短さがネックとなり、スクラップアンドビルドが繰り返される為だと云われてきました。
実はこれは間違いです。
ライフスタイルの違いによる使い勝手の悪さに、新築への憧れと、ビルダーの経営戦略が一致したため、スクラップアンドビルトが繰り返されてきたのです。
私は、大阪が通勤圏のニュータウン内に住んでいます。昭和40年代後半に造成されたニュータウンです。
当初から住まわれている方々は、もう既に子育てを終えられ仕事も第一線から退かれて、リタイア生活されている方が多く、こうなるとニュータウンと云う言葉の響きが皮肉にも聞えてきます。
仕事はリタイアしても、人生はリタイアする事が出来ませんので、これからの人生をより華やぎのあるものにしようと、皆さん地域活動に参加したり、趣味の世界に没頭したりしておられます。
これから我が家を拠点に、今までやりたくても出来なかった事を出来る環境になったのですが、我が家が思うに任せなくなってきています。
昭和40年代の家と云えば、小さくても個室がもてはやされた間取りです。まためったに使わない応接間が家の一番良い場所を占めています。台所の機能しか果たさないDKに申し訳程度の茶の間があってそこで一日の大半を過ごすことになります。
また、当時の家は省エネ性能なんて考えもしない家が殆どです。茶の間から一歩外に出ればそこは、家の外と同じ環境です。階段が急で部屋を仕切る敷居も高くいつ転倒事故が起るかわかりません。
耐震性能も現在の工法に比べ見劣りするものです。近々発生するであろう南海・東南海地震の備えもしなくてはなりません。シロアリの被害も深刻です。
そんな問題を抱えた家のままで、自分らしいライフスタイルを確立なんて出来ません。
と云っても、リタイア生活者の身、お金はあっても全て使い切ることは出来ません。必要には迫られていても建替え新築なんて望むべくもありません。
自分も家もこのまま老いて行くのを「世間と同様」と諦めたまま何もせず終わらせて良いのでしょうか。なにか方法はないのでしょうか。実はあります。
住宅を再生するのです。リフォームでもありません。従来のリフォームは目に見える部分のみを新しくするか、構造を無視して部屋を広げることしかしていません。これだと建物の寿命を延ばし資産価値を高める事にはなりません。目指すのは、耐震性能を現行基準以上の性能にし、温熱性能を高め、間取りを現在のライフスタイルに合うように再生して次の世代に引き継ぐのです。
次世代に引き継げば、再生した家が資産として引き継がれ、次の世代の住まいに関わる費用負担を軽減することが出来るのです。それをしなければ、日本人はいつまで経っても欧米人並の豊かな人生を送ることが出来ません。
古い住宅と云っても、構造的に傷んでいるのは水廻り部分程度です。多くの場合、8割以上は、取り替える事なく補強が可能です。住宅再生と云う新しい発想で、家を考えれば、新築の半分の予算で家を再生することが出来ます。その費用は自分だけに留まらず、次世代の生活をも豊かにするのです。