グルーミングルームのある間取り
事務所の近辺でニュースレターを発行しています。
住宅について、徒然に思うことを書いては、知り合いにまいてもらってます。そこで私のキャラクターを紹介していますので、親近感を持った人は、建築相談等の連絡をしてくれます。
そんなある日
ルルルルルルル
「はい岡田一級建築士事務所です」
「いつも、チラシ見せてもらってます」
「(チラシちゃう、ニュースレターや)あ、はい有難うございます」
「あのね、去年リフォームしたんです。海外に移住する間際だったんで、なにも準備ができなくて、インターネットで探して問い合わせしたんです」
「はぁ、(へ?私と何か関係あるの?)」
「そしたら、すぐに二人家に来はって、水漏れ箇所に水まいて色々調べはるんです」
「はいはい、(あんたが呼んだんやろ)」
「そして私は忙しいので、後を娘に任せて出て行ったんですが、帰ってきたら壁紙がベロっとめくれてて、直すのに20万円の見積もりを置いて帰らはりましてん」
「(高いなぁ)はい、それで?」
「高いと思いません?まぁそれはええんですけど、家の中よう調べたら大事にしてた、指輪数個と実印がなくなってますねん」
「へ?それでどうされたんですかぁ?」
「はい、直ぐにリフォーム屋に電話したんですけど、知りませんの一点張りですねん」
「(なんかややこしなってきたなぁ)警察に連絡しましたかぁ?」
「もちろんしましたけど、証拠がないものを取り締まりできんて云いますねん。娘に聞いても寝てたから判らん云いますねん」
「(大丈夫かいな)家の中は良く探されたんですか?」
「はい、何十回も探しましたけどありません。あの時家に出入りしたのはリフォーム屋以外ないんです」
(ようやく内容が見えてきた。この事をニュースレターに載せて欲しいんや)
「判りました。なんと云うリフォーム屋さんですか?」
「はい、ピー市にあるピーーーと云う会社のピーーーと云う人です」
「はいはい、判りました。この事をニュースレターに掲載してもいいですか?」
「どうぞ、どうぞ。私に限って詐欺や窃盗に遭うなんて、夢にも思わなかったけど、実際に遭ってみると悔しくて悔しくて、こんな思いを誰にもして欲しくないと思いまして、電話しました。」
「(やっぱりか)有難うございます。話しは一方的にしか聞いていませんので、名前は伏せますがこんなお便りがあった事を掲載させて頂きます」
「よろしくお願いします。ところで私の名前なんて載らないですよね?」
「はい、全て匿名にします」
どんなことでも、発行しているニュースレターに反響があるのはうれしいもので、マメに読んでる人もいるんだなぁと、ちょっとうれしくなりました。
くだんのリフォーム屋さんですが、インターネットで調べますと、介護関係の仕事から老人宅のバリアフリーを手始めに仕事の範囲を広げたみたいな業者さんで、建築が専門の業者ではないようです。
同様の仕事をしている私にとって、ころころと騙される人がいるのが不思議でなりません。キャッチフレーズで「どこより安い!」「その場で見積もり!」「信頼の実績!」とか色々かいてますよ・・・
でもね、どこよりも安いのは何と比較して安いのか?その場で見積もり出来るのはドンブリ勘定の裏返しではないのか?信頼の実績は誰が評価したものなのか?なんて事を冷静に考えてください。
何か基準となるもの(たとえばリフォームするための設計図書とか)があって同じ設計内容で、業者の見積もりを複数取ってそれを比較してどこよりも安いのだったら安いですよ。それだけ手間を掛けなければ簡単に「安い!」なんて云えません。警戒すべきです。
「その場で見積もり」もしっかりした調査をせずに、想定の積み上げで見積もりをする事ですから、安くなるはずがありません。どの様な問題が発生しても対応出来るだけの、値段が計上された見積もりです。それが安いのであれば、業者が損ばかりしています。
「信頼の実績」なんて自分で云うものではありません。管直人が被災者に向かって「私は最善を尽くしています」と云っている様なものです。
悪徳業者に引っかかる前に、このメッセージを思い出して下さい。