収益物件の保険、決済日から入っていますか?

重村裕一

重村裕一

テーマ:不動産投資

収益物件を購入されるとき、利回りや融資の話はじっくり検討されるのに、「保険」は決済直前にあわてて決める方が少なくありません。
しかし一棟アパートやマンションは、建物が壊れたときだけでなく、建物が「人にケガをさせた」ときにもオーナーが責任を問われる資産です。
今回は、収益物件の保険を購入前に整理しておくための3つのポイントをお伝えします。

①売主の保険は引き継がれない。決済日から自分で入る
オーナーチェンジ物件でも、売主が加入していた火災保険は、原則として買主に引き継がれません。売主は決済後に解約して、未経過分の保険料の返戻を受けるのが一般的です。
つまり、所有権が移る決済日から、買主自身の保険が始まっていないと「無保険の日」ができてしまいます。
融資を利用する場合は、金融機関から火災保険の加入を求められることも多いので、売買契約が済んだら早めに見積りを取り、保険の開始日を決済日に合わせておきましょう。
なお、火災保険の契約期間は現在最長5年です。長期の一括契約で安く済ませる前提の収支計画は見直しが必要です。

②建物が人にケガをさせたときの備え「施設賠償責任保険」
外壁タイルの落下、ブロック塀の倒壊、共用廊下の手すりの破損などで通行人や入居者がケガをした場合、建物の設置や保存に欠陥があれば、所有者は過失がなくても損害賠償責任を負う可能性があります(民法717条・土地工作物責任)。
火災保険の本体だけではこうした賠償はカバーされないことが多く、「施設賠償責任保険」や特約で備えるのが一般的です。
私が担当した築30年超の一棟マンションでも、購入前の現地確認で外壁タイルの浮きが見つかり、修繕計画と合わせて賠償責任の補償を付けてから引渡しを受けていただきました。保険料は大きな金額ではありませんが、付けていない場合の負担は計り知れません。

③地震と水災は「場所」で考える
地震保険は火災保険とセットでしか加入できず、保険金額は火災保険の30〜50%の範囲(建物は5,000万円が上限)です。建物を元どおりに建て直す保険ではなく、生活や事業の立て直しを支える保険と考えておくと判断を誤りにくいです。
水災は、物件の場所によって必要性が大きく変わります。宅建業法の重要事項説明では、水害ハザードマップ上の物件の位置を説明することになっていますので、その内容を保険の補償選びにもそのまま活かしてください。
大阪では2018年に大阪北部地震と台風21号が続き、屋根や外壁、看板などの被害で保険の請求が相次ぎました。大阪市内でも、海に近いエリアと上町台地周辺とでは浸水リスクが違います。「どこでも同じ補償」ではなく、その物件の場所に合わせて選ぶことが大切です。

まとめ
保険は、利回りの計算には表れにくい費用ですが、何かあったときに収益物件を守る最後の備えです。
補償内容や保険料の詳細は保険会社・代理店の判断となりますが、不動産会社として、建物の状態や立地のリスクを購入前に正直にお伝えし、保険を考えるための材料をそろえるお手伝いをしています。
「決済日まであと少し、保険をまだ決めていない」という方も、どうぞお気軽にご相談ください。

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重村裕一
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重村裕一(宅地建物取引士)

株式会社クレアクロス

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