満室の収益物件、その家賃は本物ですか?

重村裕一

重村裕一

テーマ:不動産投資

「満室稼働中・表面利回り8%」
収益物件の資料を見ると、まず目に入るのがこの数字です。ただ、その利回りを支えている家賃が“今この瞬間の本当の家賃”かどうかは、別の話です。

大阪市内の一棟マンションで、こんなご相談がありました。
レントロール(家賃一覧表)上は全室埋まっていて、家賃も周辺よりやや高め。ところが賃貸借契約書を1通ずつ取り寄せて照らし合わせると、直近で入った3部屋は「最初の3か月家賃無料(フリーレント)」付き。さらに1部屋は売主さまのご親族の入居でした。
数字としては満室でも、買った後の手取りは資料どおりにはならない物件だったのです。

今回は、収益物件を買う前に「家賃の中身」を確かめる3つのポイントをお伝えします。

①レントロールは「契約書」と突き合わせて初めて意味を持つ

レントロールは売主側が作る一覧表で、それ自体に法的な裏付けがあるわけではありません。確認したいのは次の点です。

・部屋ごとの賃料・共益費が、賃貸借契約書の金額と一致しているか
・フリーレントや家賃の一時的な値引き、広告料の上乗せなど、入居時の特別条件がないか
・売却直前にまとめて入居した部屋がないか(契約日の偏り)
・売主の関係者や法人の社宅など、退去時期が読みにくい契約がないか

特に「最近入った部屋ほど家賃が高い」場合は注意が必要です。相場より高い家賃は、退去した瞬間に相場まで下がる前提で収支を見ておくほうが安全です。

②敷金・保証金は“買主が返す”ことになる

オーナーが変わっても、入居者との賃貸借契約はそのまま買主に引き継がれます(民法605条の2)。あわせて、入居者に敷金を返す義務も新しいオーナーに移ります。
つまり、前のオーナーが預かった敷金でも、退去時に返すのは買主です。

実務では、決済時に預かり敷金の合計額を売買代金から差し引く(精算する)形で調整するのが一般的です。大阪ではかつて保証金・敷引きの慣行が多く、古い契約ほど預かり額や返還条件がまちまちなこともあります。部屋ごとの預かり額と返還条件を一覧でもらい、精算額が合っているかを必ず確認してください。

③滞納・契約形態・更新時期まで見て「続く家賃」かを判断する

家賃が「いくら」かと同じくらい大切なのが、「きちんと払われ続けるか」です。

・直近の入金状況(滞納の有無と期間)
・普通借家か定期借家か(定期借家なら期間満了で終了する前提の収支になります)
・更新時期が一時期に集中していないか(退去が重なるリスク)
・家賃保証会社への加入状況

こうした情報は、重要事項説明や売買契約の前に、仲介会社を通じて売主へ確認できます。「資料にないので分かりません」で終わらせず、書面での回答を求めることをおすすめします。

まとめ

収益物件の利回りは、家賃という「前提」の上に成り立つ計算です。前提が崩れれば、利回りの数字はそのまま崩れます。
表面の数字を疑うのは失礼なことではありません。むしろ、長く安心して持ち続けるための当たり前の手順です。
「この家賃、本当に続きますか?」と一言聞くことから始めてみてください。確認のお手伝いが必要なときは、どうぞお気軽にご相談ください。

▼お問い合わせは公式LINEから
ご相談・お問い合わせは、こちらの公式LINEよりお気軽にどうぞ。
公式LINEでお問い合わせ

▼あわせて読みたい不動産投資のコラム
その収益物件、次の人が買えますか?
黒字なのに現金が減る?投資の落とし穴

\プロのサービスをここから予約・申込みできます/

重村裕一プロのサービスメニューを見る

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

重村裕一
専門家

重村裕一(宅地建物取引士)

株式会社クレアクロス

大阪で相続不動産の売却・活用に悩むならご相談ください。IT企業出身の異色キャリアを持ち「不動産で損する人をなくしたい」という信念のもと、相続・売買・賃貸・投資まで不動産全般を一貫サポートします。

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

信用と信頼を第一に、顧客に寄り添う不動産の専門家

重村裕一プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼