空室に強い投資物件、選ぶ前の3つの基準
「利回りも悪くないし、今は満室だから大丈夫」
収益物件のご相談をお受けしていると、判断の軸がどうしても「今いくら入ってくるか」に寄りがちです。ところが、いざ売却のご相談をいただく段階でつまずくのは、家賃ではありません。「次に買う人が、この物件でお金を借りられるかどうか」です。
投資用不動産の買い手は、その多くが融資を使います。つまり自分の出口は、自分の頑張りではなく、金融機関が次の買主に「いくら・何年」で貸すかで決まってしまう。そしてその条件の大半は、買った時点ですでに決まっています。今日は、私が現場で一番もったいないと感じている「出口」の話をさせてください。
①融資期間は「建物の残り年数」で切られやすい
金融機関が投資用物件の融資期間を考えるとき、目安のひとつにするのが法定耐用年数です。鉄筋コンクリート造は47年、重量鉄骨造は34年、木造は22年。ここから築年数を引いた残存年数を、融資期間の上限の目安に置く金融機関が少なくありません。
築20年の木造アパートなら、残りは2年。仮に返済期間が10年しか出なければ、同じ家賃収入でも毎月の返済額は大きく膨らみ、手元に残るお金はほとんどなくなります。買主にとって「買えない物件」ではなく「買っても回らない物件」になってしまう。
もちろん、これは法律で決まったルールではありません。耐用年数を超えていても、物件の収益力や借主の属性を見て融資する金融機関もありますし、判断は各行それぞれです。ただ、買い手の候補が「現金の方」や「一部の金融機関を使える方」に絞られていくことは避けられません。10年後に売ろうと考えているなら、その時点で建物が何年残っているのかを、買う前に一度数えておく価値があります。
②建物そのものが融資を止めてしまうことがある
年数以外にも、次の買主の融資が難しくなる事情があります。代表的なものを3つ挙げます。
ひとつは再建築不可。建築基準法43条は、建築物の敷地は原則として幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければならないと定めています(接道義務)。これを満たさない土地は、今建っている建物を取り壊すと新たに建て直せません。担保としての評価は当然低くなります。
ふたつめは、建ぺい率や容積率をオーバーしている建物。建築当時は適法でも、その後の法改正や用途地域の変更で現行法に合わなくなったものを既存不適格といいます。違法建築とは性質が違いますが、金融機関によっては融資の対象外とされることがあります。
みっつめは旧耐震です。建築確認が1981年(昭和56年)6月1日以降であれば新耐震基準。それより前の建物は、区分マンションでも一棟でも、買主が使える融資の選択肢が狭くなりがちです。
いずれも、購入時の売買図面や登記事項証明書、検査済証の有無を見れば、事前に気づけることばかりです。
③出口から逆算して「買う前に」確認する
私がおすすめしているのは、購入を検討する段階で、次の3つを担当者に聞いてみることです。
・この物件で、どの金融機関が何年の融資を出しているか(今の売主はどう買ったか)
・接道は何メートルか、再建築はできるか、検査済証はあるか
・自分が売りたい時期(たとえば10年後)に、建物の残存年数は何年になるか
この3つに具体的に答えられる担当者であれば、その物件の出口まで考えてくれている可能性が高い。逆に「利回りが高いですから」で話が止まるようなら、もう一歩踏み込んで聞いてみてください。
大阪市内は投資用の中古物件の流通が活発で、築年数を重ねた一棟物件や区分も数多く出回っています。だからこそ、買うときは選択肢が多く見えても、売るときには「次の人が買えるかどうか」で明暗が分かれます。
まとめ
収益物件の出口は、売るときの努力ではなく、買うときの選択でほとんど決まります。利回りは持っている間の話、融資の付きやすさは手放すときの話。この2つを別々に見ておくと、判断を誤りにくくなります。
なお、融資の可否や条件は金融機関の判断であり、税額の計算は税理士の領域です。私たち不動産会社の役割は、その物件が将来どういう買い手に、どんな条件で渡せそうなのかを、良いことも悪いことも含めて正直にお伝えすることだと考えています。ご検討中の物件があれば、出口の見立てだけでもお気軽にご相談ください。
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