生前贈与で不動産を渡す前に知るべき3つの注意点
① おしどり贈与とは?制度の基本
「長年一緒に住んできた自宅を配偶者に渡したい」
そう思ったとき、頭をよぎるのが「贈与税は大丈夫?」という不安だと思います。
通常の不動産贈与には高額の贈与税がかかりますが、婚姻期間20年以上の夫婦の間では、居住用不動産(またはその購入資金)を最大2,000万円まで非課税で贈与できる特例があります。
これが通称「おしどり贈与」です(正式名称:贈与税の配偶者控除/租税特別措置法第70条の2)。
基礎控除の110万円と合わせると、合計2,110万円まで贈与税がかかりません。
② 使える条件と申告の注意点
この制度には、いくつかの要件があります。
・婚姻期間が20年以上であること(内縁・事実婚は対象外)
・贈与した不動産が配偶者の居住用であること
・贈与の翌年3月15日までに、そこに実際に住んでいること
・同じ配偶者間では生涯1回限りの適用
重要なのは、この特例は自動適用ではなく、翌年3月の確定申告が必要な点です。申告を忘れると、せっかくの特例が使えなくなります。仕事が多忙な方や初めて確定申告をされる方は、早めに税理士に相談しておくことをおすすめします。
③ 相続との比較で見えるメリットと落とし穴
おしどり贈与が特に力を発揮するのは、「住まいの持ち分を配偶者に渡しておき、遺産分割でもめるリスクを下げたい」「認知症になる前に財産を整理しておきたい」という場面です。
2024年以降の税制改正で、相続前7年以内の贈与は相続財産に持ち戻されるケースが増えていますが、おしどり贈与による不動産はこの持ち戻しの対象から除外されています(租税特別措置法第70条の2)。これは大きなメリットです。
一方で、盲点になりやすいのがコスト面です。生前贈与では登録免許税(固定資産税評価額の2%)と不動産取得税(評価額の3%)が発生します。相続の場合、登録免許税は0.4%で済むため、不動産価格によってはコストが逆転することもあります。
「特例が使える=必ず得」ではなく、状況によってコストシミュレーションを行ったうえで判断することが大切です。
まとめ
おしどり贈与は、長年連れ添ったパートナーの住まいを守るための有効な手段です。ただし、登記コストの試算・相続との比較・申告手続きと、複数の専門領域にまたがるため、税理士・司法書士・不動産会社の三者で事前に確認しておくのが理想的です。
「うちは使えそう?」と気になった方は、ぜひ一度ご相談ください。クレアクロスでは、贈与・相続に絡む不動産のご相談にも対応しています。


