BCP(事業継続計画)の簡易的な導入
これまで、このコラムでは「リスク管理」について取り上げてきました。
経営者にとって、リスク管理というと、「事故を防ぐ」「トラブルに備える」「情報漏えいを防止する」といった、「守り」の取り組みというイメージがあるかもしれません。
しかし、リスク管理を考えていくと、もう一つ見えてくるものがあります。
それが、「業務のムダ」や「非効率」という経営上のリスクです。
例えば、
「この仕事は、なぜか毎回時間がかかる」
「担当者が休むと、仕事が止まってしまう」
「同じような資料を何度も作っている」
中小企業では、このような状況が珍しくありません。
一つひとつは小さな問題に見えても、積み重なると従業員の時間を奪い、本来取り組むべき仕事に手が回らなくなります。
また、業務が特定の人に集中していれば、その人が退職したり、長期間休んだりしたときに、会社の業務そのものが滞ってしまう可能性もあります。
つまり、「非効率な業務」は、単なる時間の問題ではなく、会社のリスクにもなり得るのです。
業務効率化は「速くすること」だけではない
業務効率化というと、「システムを導入する」「AIを活用する」「ペーパーレス化する」といった取り組みを思い浮かべる方も多いでしょう。
もちろん、こうした取り組みも業務効率化の大切な手段です。
ただ、その前に考えたいことがあります。
それは、「そもそも、その仕事は本当に必要なのか?」ということです。
例えば、
「誰も見ていない報告書を毎月作成している」
「複数の担当者が、それぞれ同じようなデータを入力している」
「確認のためだけに、何人もの人が同じ資料をチェックしている」
こうした仕事は、IT化する前に「やめる」「減らす」「まとめる」という選択肢があるかもしれません。
「必要な仕事に、必要な時間を使えるようにすること」も、重要な業務効率化です。
「守り」の改善が「攻め」につながる
「業務のムダを減らす」「仕事を標準化する」「特定の人にしかできない仕事を減らす」「情報を整理する」
こうした取り組みは、一見すると地味な「守り」の改善です。
しかし、その結果として従業員に時間が生まれれば、新しい顧客への対応や営業活動、商品・サービスの改善など、会社の成長につながる仕事に時間を使えるようになります。
これが、中小企業における業務効率化の大切なポイントです。
まずは「一番困っている仕事」から
いきなり大規模なシステムを導入する必要はありません。
まずは従業員に、
「今、一番時間がかかっている仕事は何?」
「なくなったら助かる仕事は何?」
「自分が休んだら困る仕事は何?」
と聞いてみるのも一つの方法です。
こうした声を集めると、経営者が気づいていなかった「業務のムダ」や「属人化」が見えてくることがあります。
業務効率化は、特別な設備や高額なシステムがなければできないものではありません。
まずは、日々の仕事を少し離れたところから眺めてみる
「この仕事、本当に必要なのだろうか?」
そう考えることが、業務効率化の第一歩なのかもしれません。
これまで「リスク管理」という視点から会社を見てきた方は、次に「業務効率化」という視点から、日々の仕事を見直してみてはいかがでしょうか。
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