理念・ビジョン・計画の構造(一本の線)
企業理念の策定をしていると、「あれも入れたい」「これも伝えたい」と、少しずつ言葉が増えていくことがあります。
経営者の想いがたくさんあるのですから、当然のことです。
「お客様を大切にしたい」「従業員を幸せにしたい」「地域に貢献したい」「品質には妥協したくない」――。
どれも会社にとって大切な想いです。だからこそ、削るのが難しくなります。
しかし、企業理念は「たくさんの想いを詰め込むこと」が目的ではありません。
むしろ、大切な想いを残しながら、余分な言葉を削っていくことが、理念策定では重要なのです。
理念は「会社説明書」ではない
理念ですべてを説明しようとすると、文章はどうしても長くなります。
「私たちは○○を大切にし、△△を通じて□□を実現し、お客様や地域社会に……」
こうした文章は、内容として間違っているわけではありません。
ただ、理念というより「会社が何をしているのかを説明する文章」に近くなってしまいます。
企業理念は、すべてを説明する必要はありません。
短く、覚えやすく、何度でも思い出せる。
そして、従業員一人ひとりが自分の仕事に重ね合わせて考えられる。そんな言葉であることが大切です。
言葉を削ると「余白」が生まれる
あまりにも具体的に説明された理念は、「こういう意味です」という答えまで書かれているため、読み手が想像する余地がありません。
一方で、少し抽象度を残した言葉には、「自分にとってはどういう意味だろう」と考える余地があります。
その余白があるからこそ、従業員が自分の仕事に置き換えて考えたり、将来事業が変化しても理念を生かしたりすることができます。
「削る」のは、想いを減らすことではない
ここで大切なのは、「短ければ短いほど良い」ということではありません。
削るのは、経営者の想いではなく、その想いを伝えるために本当に必要かどうか分からない言葉です。
たくさんの想いの中から、
「この会社にとって、本当に残したいものは何なのか」
を考え、その核となる言葉を見つけていく。
それが、理念策定における「引き算」なのだと思います。
伝えたいことを減らすのではなく、余分な言葉を削る。
そうして最後に残った言葉こそが、その会社らしさを最もよく表しているのかもしれません。
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