自己開示とは?人間関係を深める心理学的アプローチと実践法
年齢を重ねると、若い頃には当たり前だと思っていた生き方が、少しずつ重たく感じられるようになることがあります。体力や回復力の変化だけでなく、「これまでと同じ頑張り方でいいのだろうか」と、ふと立ち止まる瞬間が増えてくるからかもしれません。
そんなとき、最近よく思い出すのが、私が中学生だった頃に祖父が話してくれていた何気ない言葉。当時は特別な意味を感じることもなく、聞き流していましたが、祖父がその言葉を口にしていた年齢を自分が越えた今、言葉の重みだけが静かに残っています。
一つ目は、「物事を60%で手放す」という考え方。
若い頃の私は完璧主義で、仕事でも人間関係でも納得がいくまでやり直すことが当たり前でした。その姿勢は前向きである一方、自分にも周囲にも大きな負担をかけていたように思います。祖父は、思い通りにいかないことがあっても、「まぁ、こんなもんじゃな」と笑って受け流す人でした。すべてを100%にしようとすると人生は息苦しくなる。60%で一度区切りをつけることで、心に余白が生まれることを、今は実感しています。
二つ目は、「行くところがある」「用事がある」という日常を持つこと。
祖父はこれを教育や教養だと言っていました。知識の多さではなく、今日、動く理由があること。私は今、思い立ったら即行動することを大切にしています。人に会う、学ぶ、散歩に出る。小さな用事でも、心が前を向くきっかけになります。
三つ目は、他人と比べないこと。
人はどうしても他者と自分を比べてしまいます。私自身も「隣の芝生は青く見える」タイプでした。けれど第二の人生として協会を立ち上げ、「人は自分が考えた通りの人間になっていく」という考え方を受け入れたとき、比べる軸が外から内へと戻りました。自分はどう在りたいのか。その問いに立ったとき、祖父の「人は人、自分は自分」という言葉が腑に落ちました。
年を重ねることは、何かを諦めることではなく、生き方を調整することなのかもしれません。力を抜き、動く理由を持ち、比べる相手を外に置かない。その積み重ねが、人生を少しずつ楽にしてくれるように感じています。



