男と女は脳がちがう
最近、子どもたちがスマホでLINEやゲームに夢中になり、アプリや携帯に制限をかける親御さんが増えていると耳にしました。けれど、人は誰でも、制限されるとその枠を破りたくなるものです。自由を求める気持ちは、子どもも大人も変わらないのだと、改めて感じます。
そんな話を聞いたとき、私はふと、母のことを思い出しました。母が元気だった頃、特別養護老人ホーム(特養)に入居し、そこでの暮らしをとても楽しんでいました。以前よりも声のトーンが明るくなり、着るものや身だしなみにも気を配るようになりました。
「今日はみんなで昔の歌を歌ったの」「折り紙を教えてあげたよ」そんなふうに、毎日の出来事を嬉しそうに話してくれたものです。それまでは一人で過ごす時間が多く、考え込むことも少なくなかった母。けれど、特養で新しい仲間と交流を持つことで、自然と行動にも積極性が生まれました。
人は他者との関係性の中で、自分を映し出し、アイデンティティを育てていくのかもしれません。たとえ年を重ね、認知症が進んでも、その営みは変わらないのでしょう。母の生き生きとした表情を思い浮かべるうちに、私は幼い頃の記憶に引き戻されました。
初めて幼稚園に通った日、新しい友達や先生に出会い、楽しかった出来事を祖父や母に機関銃のように話したあの頃。誰かに自分を伝える喜びに胸をふくらませていた、懐かしい時間です。他者とのかかわりが、自分を映す鏡となり、心を豊かに育てていく。それは、今も昔も変わらないことかもしれませんね。
【小さな実践】
苦手だと感じる相手を、少しだけ優しい目で観察してみる。
その中に、あなた自身の知られたくない一面が映っているかもしれません。



