笑えない顔 第1章.2
人生には思いがけない瞬間があります。
時に、ちょっとした出来事や偶然が、私たちの運命を大きく変えることがあります。今回は、私の友人が人生にもたらした影響について、その意味と教訓について考えてみたいと思います。
何年も前のことです。
仕事のストレスが限界になっていました。毎日が同じようなルーチンの繰り返しで、変化のない日々から逃げたいと思っていました。そんな時、友人から食事に誘われました。正直なところ、その時の私は誰かと会う気分ではありませんでしたが、気分転換になるかもしれないと思い、久しぶりに友人と会うことにしました。
友人と会っても少しも癒やされることはなく会話も聞き流していました。ところが友人は何かを思ったか真顔になり、いつもとは違う話を始めました。それは彼女自身が昔悩んでいいたことで、私は初めて聞くことでした。
友人が話す内容は、まさに私が抱えている問題と重なっていました。私がストレスを抱えている悩みを話すと友人は、すごく共感してくれて自分の経験を通してアドバイスをしてくれました。この友人のおかげで自分自身の現状を客観的に受け入れることができました。
この日、もし友人と会っていなかったらどうなっていただろう。会っても悩みを打ち明けていなかったらどうだろう。私の変化に気づき友人が普段は話さないようなことを話してくれていなかったら、私のことを話していたのだろうか。多分、問題を抱えていても、どうせ話しても理解できないだろうと雑談で終わっていたような気がします。
友人は、ストレスを抱え変化のない毎日にほんの少し変化をくれました。今思えば友人と食事したのはこの時が最後で二度と会うことはできませんでした。私たちが共有したこの時間が一生の想い出になりました。
今でも不思議なんです。どうしてピンポイントで私の抱えている問題を自分の経験と重ねることができたのだろうかと。
私が好きなブルース・リーが映画の中で、弟子に向かって「“Don’t Think, Feel!”」(考えるな!感じろ!)と言うシーンがあってね、なんとなくこれかなぁと思ったんです。
人生において人との出会いや身の回りの小さな変化は、人生に大きな影響を与える可能性があります。時には自分の心を開き、相手の心の声に耳を傾けることで何かを感じ取ることができるのかもしれませんね。