思考のON-OFF
前回の「激怒した相手に逃げ道を【人間の本質】3」の続き。
ココロが最優先するプログラム「快を求め痛みを回避」は、本能的な脳のクセです。このシンプルな2つのプログラムで、私たちの思考や行動が左右されます。
私たちの人間関係や個々の生き方が、この2つのプログラムを軸にコミュニケーションやマインドセットの改善に応用できる上にシンプルで再現性があると考えているので、よろしければ参考にしてみて下さい。
今回は、人間関係がこじれる原因と修復の方法を事例を混じえながらお伝えしてこのシリーズを終えたいと思います。
人間関係がこじれる原因は、小さい事から大きい事が考えられますが、根っこを掘り下げてみると「快」を求めて「痛み」を回避するところにたどり着きます。
私たちは誰でも、心地良さ、楽しい、嬉しい、恋心、友情、興味、好奇心、達成感、仲間意識、希望などの「快」をココロのどこかで求めています。
他方、「痛み」は、苦痛、辛さ、心地悪さ、イジメ、イビリ、暴力、怒り、悲しみ、孤独、皮肉、羞恥心、絶望、別れ、疲労、睡眠不足、病気、破産、失業、トラブルなどを無意識に回避しようとしています。
「快」も「痛み」も人によって捉え方が違います。身体を鍛えるようなしんどいことが「快」と捉える人もいれば、一方で人が寄ってくることが煩わしくて一人になりたくて「痛み」と捉える人がいます。
それは時間や立場、過去のトラウマなどによって変わります。同じ出来事だったとしても、忙しい時と暇を持て余している時では対応が変わります。また、同じ出来事だったとしても、立場や相手が変わると場の空気を読む必要性が出てきます。
これらの複雑な人間関係のコミュニケーションで、すべてに共通している根っこが「快」と「痛み」に繋がります。面白いでしょう。
つまり、コミュニケーション力は、相手の「快」と「痛み」を理解する会話術と言っても過言ではありません。
ここで私の目の前で起こった事例をシェアします。
私が洋服の◯◯でワイシャツを見ていた時のこと。ある男性がジャケットが気に入らないから返品すると言って店員さんに詰め寄りました。
店員:お客様、申し訳ありませんが、一度お手を通したジャケットは返品できません。
お客:手を通してないよ!
(店員はジャケットをチェックしながら、クリーニングのタグを見つけて)
店員:これはもしかしたらお客様が気づかないうちにご家族がクリーニングに出されているようです。お客様はご存知なかったのですね。やはり申し訳ありませんが、クリーニングに出したものは返品できません。
お客:(バツが悪そうに)じゃいいよ! と言ってジャケットをひったくって店から出ました。
店員:(深く頭を下げて)またのお越しをお待ちしております。
どうでしょう。この店員さんはしっかりお客様の逃げ道を用意していることに気づきましたか? 相手が不条理なことを言ってきても、逃げ道を用意しておくことで相手の自己重要感を傷つけません。
このように相手に痛みを与えないコミュニケーションは、地味で時間がかかるかもしれませんが、いずれ、あなたも相手も「快」の心地よい関係になっていくと思うので、職場やプライベートで実践してみて下さい。
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あなたにも気付きがありますように
下記に参考になる記事のリンクを貼っておきます。
◇「自己重要感は元気の素」
自己重要感のアップはどのようにして行なうのか
【小さな実践】
学んだことは、まず自分で試して改善や応用を繰り返しながら最終的に習慣にする。そして学んだスキルを肝心な時に使うことを忘れない