出口が見えない認知症のトンネル入った日
「遠距離認知症介護者の日記」のテーマの記事は、お袋が認知症になった初期の頃を記録として残すためにアップしています。
ここから2015年7月21日の話
台風11号が倉敷を直撃する日に実家に帰っていました。幸い被害もなく台風は通過しましたが、我が家の台風は大荒れでした(笑)
というのが、私が帰郷する前の日に、お袋が財布を無くしたらしく私の顔を見るやいなや「財布がない!」「財布を盗まれた」 の連発です。
最初のうちは私も部屋の中を一緒に探していたのですが、お袋は「盗まれた」と思い込んでヘルパーが盗んだに違いない!とバカの一つ覚えのように言うばかりで、話すのが億劫になり、会話がなくなりました。
挙句の果てに、最初は千円入っていたと言ってたのが、最終的には、1万円になり、
やがて2万円まで引き上げてきました(笑) 一人暮らしで認知症になり、お金に執着するのは無理もないと思っていたので特に否定もせずになだめていました。
ただ、本当にお金に執着しているのだろうか・・・という疑問が湧いてきたのでお袋にこんなことを聴いてみました。「お金が戻ったら機嫌がなおるのか?」そうすると、お袋は「そりゃ、分からん!」
試しに、お袋が持っている財布の中で最も高級そうな財布をバックの中に入れておいたところ、いつの間にかその財布は、タンスの奥にねじ込まれていました(笑)
もしや無くなった財布に未練があるのかと思い、「財布が返ってきても、中のお金がなかったらどうする?」と聴いてみました。すると、彼女は「そりゃ、財布が返ってくるだけでええ、どちらにしてもお金は入ってなかったからなぁ」
えぇ~ 2万円はどこへ(笑)
とまぁ、色々聴いているうちに実は財布に思い入れがあることが解り、「あの財布は自分で買ったの?」と聴いてみるとどうやら、大切な友だちに貰った財布らしい。
もし、私が何も聴かなかったらお袋が大切にしていたのは財布だったことは気付かないまま、「認知症はお金に執着する」という概念を持っていたでしょう。
お袋が何度も言っている言葉の中には大切な意味を含んでいることあり、こちらの概念で決めつけてはいけないことがよく解りました。
このハプニングでお袋が愛おしくなり、 同じような青い財布を探しまわって購入し、財布の中に5000円を入れてデイケアセンターの方から、お袋に渡してもらいました。
又、無くしてないか気になって後でお袋に電話すると、とても財布を気に入ってくれたようで電話口で泣いていました。
今は、ヘルパーさんにお金を預けているので、彼女自身はほとんど買い物をしませんが、新しい青い財布は息子に買ってもらったという、想いが新たに込められたのでしょう。
あなたにも気付きがありますように
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