認知症の方との愛コミュニケーションは家族しかできない

小橋広市

小橋広市

テーマ:認知症介護者の憂鬱

「遠距離認知症介護者の日記」のテーマの記事は、お袋が認知症になった初期の頃を記録として残すためにアップしています。

期待値のズレ


ここから2014年7月7日の話


私の友達には認知症の家族をもっている人が多い。私がFacebookで認知症の話しをすると、友達は自分に置き換えて励ましてくれる。 これ程、こころ強いことはない。

先日、お袋の話すことが妄想か現実か解らないと、私がイライラしていた時にパートナーが、イライラする原因のひとつとして、「お母さんの話しを真実として受け止めようとしているから苦しんでいるのではないの?」と言ってくれた。

まさにこれだと思った!

これが明確になってから、3日間、お袋と過ごしたがイライラがなくなった。

少し本題から外れるが、脳はインプットされた記憶を呼び起こすだけでなく、異なった記憶同士を結び付けてまったく新しいものを出現させる。これが「閃き」になる。

認知症になる前のお袋なら、未知の事に出合っても過去の似たような体験や知識で想像できると思う。ところが、今のお袋は想像どころか、過去に積み重ねた記憶すら消えていっている。

記憶は、過去の体験や知識で「判断力」を生み、それらをジグソーパズルのように組み合わせて「想像力」を生んで未来にレールを敷く。

このような脳の機能が失われていくことが、自覚できる認知症がどれほど怖くて心細く孤独なものか想像しただけで耐え難い。認知症は、誰もが人事ではない。少なくとも認知症の方のココロは理解しておきたい。



ここから現在


私は独居で暮らしていたお袋の認知症が進行していく様を、ある時は息子として、ある時はコーチとして観てきました。何故、家族が認知症という病気を受け入れることが難しいのか、狭い範囲ながら理解できました。

認知症の方の家族が、当人とどのように向き合えば、お互いにとって幸せなのか少し解ったような気がします。現在、お袋は特養に入所しておりますが、毎回、面談時間を増やしています。

先日、施設の方から「お母さんとどんな話をしているのですか?」と聞かれました。普通に世間話をしていますと答え、逆に私から何故ですかと聴くと「家族の方が来られてもたいてい10分くらいで帰るので、どんな話をされているのかと思って・・・」

認知症の進行によって違うと言われるとそれまでですが、私はたとえ進行して会話が一方通行になっても、お袋の反応を楽しめるようになりました。これは私がコーチだからかもしれませんが、人間の感情は最後まで残ると信じています。


参考になれば幸いです。



【小さな実践】
コミュニケーションに言葉が必要だという思い込みこそ必要ない


 

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小橋広市(講師)

一般社団法人Self&Lifeコンディショニング協会

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