認知症の恐怖を本人が知った日

小橋広市

小橋広市

テーマ:認知症介護者の憂鬱

「遠距離認知症介護者の日記」のテーマの記事は、お袋が認知症になった初期の頃を記録として残すためにアップしています。

整理


ここから2014年5月11日の話


先日、お袋から「風呂の入り方がわからん」と電話があり、どういうこと?と聴くと「風呂にどうやって入っていたのか忘れた」と言う。

お袋に、携帯を持ったまま浴室に行くように言った。「まず、青い蛇口をひねり、続いて赤い蛇口をひねったらお湯が出るやろ?」と言うと、お袋は「いつまでも水しか出てこん・・」

あぁ~ 又、やったな・・ 原因が解った。

お袋が浴槽にお湯を入れっぱなしで止め忘れ、温水器の安全スイッチが働いたかガスメータの安全弁が作動したのだ。 以前にもあった。これはお袋では解除できないのでケアの人に連絡して何とか解除してもらった。

そして昨日・・

又、風呂の入り方が分からなくなったらしく「もうわたしゃ死んだほうがええかなぁ」と電話してきた。これは明らかに思考や行動習慣が機能しなくなってきている・・

やがて浴室やトイレの場所が解らなくなるだろう。しかし、まだ「できない」ことを私に言ってくれるので助かる。認知症の人の多くは、自分ができないことを隠そうとする。

お袋の場合は認知症の進行が早いので、会話の中で行動習慣を何度も繰り返し刷り込んだ方が良さそうだ。同時に近い将来、一人暮らしが出来なくなることを想定しておく必要がある。

こんな時に、お袋に携帯を持たせておいて良かったとつくづく思う。



ここから現在


この頃が一番、遠距離介護のもどかしさと不安を感じていました。携帯電話は、電池切れで繋がらないことが多く、家電にかけても応答ボタンが分からないので何度かけても切られる。心配になって近所の友だちに様子を観てもらったことが何度もありました。

お袋自身も認知症による急激な物忘れに不安で自暴自棄になっていました。昨日までできていたことが今日はできない。このまま生きるすべを忘れるかもしれない。これは不安を通りこした恐怖だったのでしょう。

今思えば、お袋の独居生活は、綱渡りのような生活を強いられていたように思います。私自身も心筋梗塞と重なり、京都から離れることができませんでした。しかし、選択肢は他にあったかもしれません。



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小橋広市(講師)

一般社団法人Self&Lifeコンディショニング協会

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