目的地に行く地図が違う
一貫性の原理
「過去の自分の発言や行動に対して、その後もある程度、一貫性をもった行動を取ろうとする心理」
つまり、自分の言動に一貫性を持たせることが、社会の中では不可欠であり、それが他者の評価を高めるという意識が私たちに潜在的に備わっているので、一度とった言動は、後の言動に制約を加えることになります。
身近な事例でいうと、職場で上司に「A君、日曜日空いてるか?」と聞かれたが、日曜日はゆっくりしたいと思っていたA君は「いえ、日曜は実家に帰る予定です」とウソを言ってしまった。
その場に同僚のB君が来て「A君、日曜日に釣りに行かないか?」と言われた。A君は、本当は釣りに行きたい気持ちもあったが、上司に実家に帰ると言った手前「いや日曜は実家に帰るんだ」とB君にもウソを言わざるおえなかった。
上司に言った「実家に帰る」という言動に一貫性を持たせる為に、自分の感情に制約をかけた。このような事例はいっぱいあります。
若い頃の私の事例をお話すると、
私が設計した祇園のバーに、初めて友だち数人を連れて行った。会計の際、いつもは割り勘の関係性にも関わらす「ここは俺が払っておくよ」とついカッコつけて言ったことで、次に行った時は、割り勘とは言いにくくなってしまった。
これは「私が設計した店は奢る」という言動に一貫性を持たせる為に、次も奢らなければいけないという制約をかけてしまった。これが一貫性の原理です。
これは私が自分で制約をかけた結果になりましたが、実は友だちにも「一貫性の原理」が働いています。どういうことかと言うと、友だちの方も「小橋が設計した店は常に奢ってもらえる」という思考が構築されてしまったということです。
一貫性の応用
この一貫性の原理を人間関係で活かす例をお伝えします。
これは私が会社員当時の話。同じ職場の先輩に苦手な人がいました。朝、こちらから挨拶をしても無視されるので、段々と目も合わさなくなりました。それが何の因果か班替えでその先輩と同じ班になったのです。
仕方ないので、毎日、嫌な思いをするより、後輩の私からきちんと挨拶をする方が得策だと考えました。
次の日に先輩の顔を見た時、立ち止まって「◯◯さん、おはようございます」と挨拶したところ、先輩は驚いた顔して小声で「おはようさん」と挨拶をしてくれたのです。ぎこちなさはありますが、普通に毎日、挨拶をするようになりました。
この事例は、私の「◯◯さん、おはようございます」に対して、先輩が「おはようさん」と答えてしまったことで、次の日も挨拶には挨拶で返さなければいけないという一貫性の原理が働いたわけですね。
この一貫性の原理は、ビジネスやプライベートでどのように活かせるか考えてみると面白いですよ。
よかったら参考にして下さい。
【小さな実践】
「一貫性の原理」をビジネスや人間関係で活かせる事例をいくつか考えてみる