ストレスから適応障害2
対処療法は短期的
組織の中で、一緒にいると影響を受けやすい感情が喜怒哀楽ですね。その中でも、怒りは特に伝染しやすいと言われ、身近な人や立場が強い者から弱い者へ伝染する傾向があります。
しかし、伝染するのは怒りだけではありません。喜びや悲しみ、楽しさも伝染します。怒りに比べて、笑顔は上も下も強いも弱いもなく伝染してくれます。
私はアンガーマネジメントファシリテーターとして多くの参加者さんにアンガーマネジメントをお伝えしてきましたが、少ししんどくなりました。どうしてだろうと自問自答することが多くなりました。最近、これかなぁというのが少し解りました。
それは「怒り」というネガティブな感情にフォーカスして取り組んでいるからです。私たちは楽しいことや嬉しいことは、いつまでも続けたいし、喜びやワクワクすることを他者に伝えることに喜びを感じます。
私たちの心理は、「痛みを逃れ、快楽を求める」傾向があります。
アンガーマネジメントは、怒っても良いという前提はありますが、参加者さんの多くは、怒りという感情を危機感や苦しみとして捉え、それを解決するために受講される方が多いのです。
つまり風邪で熱が出て苦しいから、とりあえず近くのクリニックで注射を打ってもらって苦しみから逃れたいという対処療法は短期的な治療ということです。
この考え方が悪いと言っているわけではありませんが、私は、後者の「楽しいことを望む」つまり、楽しいことや情熱をかけられることを、より多くの人にお伝えする方が肌に合っています。
これが最近の大きな心境の変化です。これから先は、アンガーマネジメントで得た怒りの仕組みもお伝えしながら、私も参加者さんもワクワクできて根本的なところを変容させる長期的な方向に少しずつ舵を切っていくつもりです。
「笑い」のコミュニケーション
そんなことで今日は少しだけ「笑い」の話。笑いは、他者の話や行動が面白かったり、自分がヘマをした時も照れ笑いをします。
赤ちゃんが笑ったり泣いたりする時、お母さんは、赤ちゃんの表情やしぐさを見て、オシッコをしているのか、お腹が空いているのか、痛いところがあるのか、眠いのか・・・というように、「笑い」は赤ちゃんの体調の判断基準にもなっています。
私は、テニスの試合でミスをするとペアを組んでいる人に愛想笑いをします。笑う理由は「もうミスしないから安心して」という他者への意思表示と、ミスをしても気負わず冷静になる自分へのメンタルコントロールです。
こんな光景も見たことがあるでしょう。ホームに電車が入って急いで乗ろうとした際、乗車する直前にドアが閉まる。そんな時、笑っている人。これを心理分析すると「電車は次が来るし、時間もあるので急いでないよ」的な余裕を見せる照れ隠し。
このような様々な要素を含んだ笑いは、「自分が良い状態にある」ことを第三者に伝える手段であり、またその笑いを見て第三者が安心したり、安全を感じるための伝達手段でもあります。
こうして考えると笑いは、とても便利なコミュニケーションツールですよね。
【小さな実践】
嬉し楽しかったことをノートに書き出し、どうして嬉しいのか、何が楽しかったのかを掘り下げて、自分の価値観や価値基準を書き出してみる