あなたは心肺停止の人に救命処置ができるか?

小橋広市

小橋広市

テーマ:人生の軌跡と羅針盤

渋谷のスクランブル交差点で大勢の人が行き交う中、何かの理由で人が意識を失って倒れても、まるで何事もなかったかのように通り過ぎていく様をドラマのシーンで観ることがあります。

ひとりで歩いている時に、同じシーンに出くわしたとしたら、恐らく誰もが立ち止まって声をかけると思います。それが大勢の他人の中にいると、「誰かがやるだろう」という気持ちになるのは何故か・・・

傍観者効果


このような心理を「傍観者効果」と言って、ある出来事に対して自分以外に傍観者がいる時、自ら率先して行動を起こさないのです。この状態は傍観者が多いほどこの心理が高まります。

このような心理は次の3つの思考で起こるそうです。

・多元的無知:他者が積極的に行動しないことで、事態は緊急性を要しないと考える

・責任分散:他者と同調することで責任や非難が分散されると考える

・評価懸念:行動を起こした際、その結果に対して周囲からのネガティブな評価を恐れる

コミュニティ

もしも私がこのようなシーンに出くわしたとしたら、果たして倒れた人に声をかけることができるかと言えば、数年前までは自信がありませんでした。こういう心理に打ち勝つ使命感のような強い動機付けができないのです。

心肺停止で倒れる


2年前、公共施設の受付で心肺停止で倒れた私を、すぐ近くにいた看護師さんが、倒れた私に対してすぐに心肺蘇生して下さり、AEDの手配など、周囲の人に指示を出して救命して頂きました。

この時は傍観者が大勢いたと聞いています。何故、傍観者効果の心理が働かなかったのか、それは看護師という職業からくる使命感でしょうか。しかし、周囲の人はその方が看護師さんとは知りません。

この状況でなら傍観者になれるチャンスがあったにもかかわらず、看護師さんは躊躇することなく、すぐ蘇生をして下さったのです。これは使命感というより、この方の持って生まれたものだと思っています。

このことがあってから、私は傍観者にはならないよう救命の講習を受けたり、公共施設ではAEDの場所をいつも確認し、いつでもすぐに行動できるようにイメトレしています。

人ひとりができることは限られていますが、後で後悔のない行動ととりたいものですよね。



【小さな実践】
緊急時に冷静な行動がとれるように、災害や人災が起こった時のイメージトレーニングを普段からしておく


 

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小橋広市(講師)

一般社団法人Self&Lifeコンディショニング協会

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