関係性コンディショニング
私が二十歳の頃、音楽にのめり込んだ時期がありました。当時、交際していた彼女は、高校のブラスバンドでフルートを吹いていました。私もブラスバンドだったので彼女とは気が合いました。彼女を通じて知り合ったドラムの元プロの先輩やその仲間のバンドにも参加して、青春真っ只中でした。
しばらくして、彼女から気持ちが離れてゆき、音楽の方に傾いていきました。彼女が「今度、いつ逢う?」と言ってもバンドがあるから逢えないと断ってばかりでした。彼女と逢っても、バンドの話ばかりで「ノリが悪い」とか「話すリズムが違う」とか音楽仲間が使う隠語でカッコつけて話していました。
そんなある日、彼女から「あなた、変わったね」と言われました。私は何が変わったのか解らないまま「音楽ばかりでごめんね、今度、ゆっくり逢おう」と言うと、彼女からかえってきたのは、あまりに突然の別れの言葉。
彼女は、「音楽に夢中になったとか逢えないとか、そんなのが別れる理由じゃない。むしろ音楽に夢中になっているあなたが好きだったし、自分でも分からないけど、逢っても、いつも遠くばかりを見て私を見ていない気がするの」と言う言葉を最後に彼女との恋愛は終わりました。
今にして思えば、バンドを始めてこれまでとは違う世界の人への憧れで、バンド仲間と共有する時間が何よりも大切に思っていました。こんな気持ちは彼女が誰よりも理解してくれているはず。そんな自分勝手な思い込みが、彼女の間に大きな溝を作っていったのでしょう。
人間関係
人間関係は深くなればなるほど、思わぬところに小さな傷や隙間ができてきます。親友や恋人、夫婦や親子関係も同じで、その傷や隙間は、自分で意識してつくったり、無意識だったり、そのままにすれば傷や隙間は大きくなるばかりです。
長年生きていて解ったことがあります。人間関係においては、どんなに距離が離れていても、どんなに逢えない時間が続いたとしても、お互いが整え続けておれば、隙間が広がることはありません。
【小さな実践】
人間関係を整えるには、具体的にどのようなことか書き出してみる