認知症の介護ウツは本人には分からない
このところ投稿している記事は、
お袋が認知症と診断された頃の話です。
介護をしている方に
参考になればと思って、
当時の日記をシェアしています。
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いつものようにお袋に電話すると
「あんたに聴きたいことがあるんじゃけど」
と怪訝な声で問いかけてきた。
何を言うのかと思えば、
「あんた35万も借金をしてから、
私は心配で頭がいてぇ」
と言われ、何のことが分からないまま、
「心配せんでええよ。借金なんかしてへんから」
と答えて、とりあえずお袋を落ち着かせ、
この話題を「保留」にした。
もちろん借金はないが、
もしかすると私が若い頃、
ローンで車を買った時のことを
思い出しているのかもしれない。
だとしたら、
当時は気にかけてなかったが
お袋にしてみれば、
若い頃の私の行動や考え方は
相当なストレスとして心に
残っていたのだろう。
このようなわけが分からない言動も、
他人からみれば不可解な言動かもしれないが、
掘り下げてみると、お袋なりにちゃんとした
理由があることに気付かされる。
お袋の言動に少し慣れたと思うと、
日々、変容していくので、
こちらの方が追いつかない。
身体は正直なもので、
ここ数日の私の血圧は右肩上がり。
お袋が元気な時は
近所の人や友達がよく訪れる家だったが、
病気の気配を察すると誰も来なくなった。
それほど認知症は特別なものかと
田舎には都会とは違う孤立感がある。
今は一歩下がって、
あるがままを観て感じるしかない。
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この日記の中で
「保留」という言葉を使ったのは、
日々、変容するお袋の対処方法です。
私たちは、コミュニケーションの中で
問題が生じると、互いにある程度の結論を
出して決着をつけたい心理が働きます。
ところが認知症の場合、
気になることが浮かぶと
不安から怒りの感情になるので
こちらのコミュニケーション力が追っつかないのです。
そうなると、
こちらも売り言葉に買い言葉で
怒りの感情で返すようになります。
それの対処方法が、
「問題を保留して一歩下がる」
です。
一見、冷たく感じますが、
私の経験から認知症のお袋に
巻き込まれない唯一の方法でした。
慣れないうちは
こちらにモヤモヤ感が残りますが、
認知症の方の暴言に悩んでいる方は
是非、お試しあれ。
【小さな実践】
「問題の保留」を通常のコミュニケーションで
応用できるように事例をイメージしながら考えてみる