思い込みのワナ
商売をしている人なら
お客様からのクレームに
ドキッとしたことがあると思います。
もちろん私も建築設計をやっている時には
お客様だけでなく施工業者からの
クレームもありました。
でも、不思議に何十年もやってる
ステンドグラスのお客様からのクレームは
一度もありませんでした。
私の作風が気に入って下さっている
ファンのお客様は別として、
ほとんど初めてのお客様ばかり。
同業者から、何故、クレームが発生しないのか
聴かれたことがあります。
特に理由はなく、
急いでいるお客様の依頼を
受けないだけですけどね。
ただ、次のようなお客様には注意してました。
お客様が参考写真を持ってきて
「こんな感じでお願いします」
一見、やりやすそうでしょう。
ところが、これが一番コワイ。
どうしてかというと、
写真を見た私が受けるイメージと
お客様が持っているイメージのギャップ。
当たり前ですが、
お客様と私とでは、ステンドグラスに
関わった時間が違います。
私は何十年もステンドグラスに関わっているので
写真だけで素材や透過率まで想像できますが、
お客様は写真で見たガラスの色合いだけで
イメージしているところにギャップがあります。
このギャップは短時間では埋まらないので、
通常、1週間で完成するような作品でも
1ヶ月くらいかけてお客様とイメージ合せをしながら
お客様の期待値に近いところまでもっていきます。
ステンドグラスは、自然光との共演で
部屋の壁や床を舞台とした
色とりどりの役者を演出させます。
それらをお客様にイメージしてもらえたら
作品は完成したようなもの。
このように、
お客様の「こんな感じ」をより具体化し
共通言語にするには時間がかかるということです。
それは人間関係も同じで、
自分と他者との期待値はそれぞれ違うのが当たり前、
その期待値は本人にとっては全て正しいから厄介です。
他者と期待値がまったく同じなら
意見の食い違いもケンカもないでしょう。
期待値が違っていても私たちは
理性や社会通念の範囲で考えるので
多少のズレは妥協しながらでもお付合いできます。
期待値を言い換えると
◯◯するべきという自分の価値観を
相手に投影したものなので
ほとんど思い込みの世界。
良かれと思って・・
喜んでくれると思って・・
そんなに怒るとは思わなかった・・
これらは自分自身の経験や知識の中で
相手はこう思ってくれるだろうと
勝手に想像しているだけのこと。
私が思っている青は海の青
あなたが思っているのが空の青だったとしたら
同じ青でもまったく異なります。
お互いの経験や知識、環境の差で
「青色」のイメージが違ってくるので
コミュニケーションは時間をかけてでも、
双方の共通言語にした方がいいですよね。
お互いに思い込みがあるかもしれないことを
前提にしているとどうしても確認が必要になります。
でも、確認していると会話が長くなり
面倒くさいと思うかもしれませんが、
会話がなくなったカップルやご夫婦でも
確認していると何十年も思い込みだったことが
発見できるかもしれません。
何でもスピードの時代かもしれませんが、
コミュニケーションくらい
時間をかけてもいいじゃないですか(^o^)
【小さな行動】
自分の言葉が相手に正確に伝わっているかどうか
細かいところまで確認してみる