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谷澤優花

人を敬う心“接遇”を伝えるビジネスマナーのプロ

谷澤優花(たにざわゆうか)

谷澤優花

コラム

医療現場 忙しい中・込み合っている時の患者対応の心得とは

医療・介護の現場ですぐに実践できること

2018年2月8日 / 2018年8月24日更新

医療講演・研修を実施し、最後にご質問をうかがうと、必ず出でくる質問内容があります。
それが、「医療接遇の大切さを今日学びまししたが、どうしてもその日の込み具合や忙しさで、患者の方々に丁寧な応対ができる状況でない場合、気持ちに余裕がない場合の対処方法について、教えてください。」という質問内容です。

おっしゃる通り、丁寧な対応が必要と理解していても、出来ない場合もありますよね。医療の現場では、当然です。私は、そのような場面やシチュエーションでのご質問に、『それでも患者の方には、丁寧に接することが医療のプロとして当然です。』とは、申しません。それよりもむしろ、医師の方や医療従事者の方々が、本来の自分で居られるように保つことをお勧めしています。心の余裕が無い時に、人に優しく・労ることは、難しいでしょう。そして、人は(患者の方は)察知する能力に長けているので、医療者がイライラしたり、忙しくて気持ちが焦っていることは、初めての相手であっても、感じてますます不安になります。そのような際に、義務的に丁寧な言葉遣いで対応されても、言葉の真意に「心」がないことは、見抜かれてしまいます。人に(患者の方に)優しくする前に、医療者自身が自分を労り、頑張っている自分を褒め、うまくいかない自分も認め、だからこそ課題をクリアしようとする姿が、患者の方は、一生懸命してくれているなぁ・・・と受けとめ、信頼の気持ちに繋がると、私は思います
ここでは、3つの点で気持ちの切り替え方や改善のポイントを挙げてみました。

1.視覚要素での項目を意識し整える・・・

「身支度、仕事半分=身だしなみが整っていれば、その日の仕事の半分は上手くいったのと同じである」と小林一三氏(阪急・東宝グループ・宝塚歌劇団の創業者)は、常々社員に声を掛けて身だしなみを整えることをすすめました。それは、仕事に対するモチベーションを表現する上で重要と、当時から小林氏は、分かっていたということです。私は、「身だしなみ」を整えることは、毎朝仕事に行く前の時間の中で、『自分のペースで出来る仕事の一つ』だと思っています。日々の多忙な中であっても、その日の仕事の相手に与える印象が良くなり、業務が半分うまくいくなら、忙しくなってから何か行うより負担は少ないといえます。やはり忙しくなる前に出来ることをかかさないという、事前準備が必要ということですね。
 そして、表情や態度は、意識するだけで、患者の方の反応は変わってくるでしょう。医師・看護師・技師としての技術をしっかり身に付けることが自信になるように、視覚要素での項目に対し、意識し患者の方に自分なりに精いっぱい表現していると思えるなら、その事が自信となり、患者の方の理不尽な言葉や態度も冷静に「様々な患者の方がいるな」と受け止められ、ある意味割り切って接することができます。出来ていないことを患者の方から指摘されると、医療者という立場であっても、「カチン」ときます。誰もが経験する、人として当然の感情です。そのようにならない為にも、人からの見え方を意識し、相手に伝わる「労りの気持ちを表現するテクニック」を身に付けることが、医療者を守ること(自分を守ること)にもつながります。

女性看護師 振り向く


2.自分なりのルーティーンを作る・・・

ラグビー日本代表の五郎丸選手がキックの際に行い、話題となった「ルーティーン」。これは、業務の中でも使えます。私は香川県消防学校の初任科生を担当しておりますが、消防・救急の際に、先輩隊員が常に指導することとして、『どんな状況であっても自分を冷静に保ち、周囲や現場の雰囲気や渦の中に巻き込まれない』ということ諭します。例えば、救急隊員であれば、事故現場に到着し、傷病者が一人とは限りません。血を流して倒れている方が数人いるのであれば、トリアージ後に処置や搬送する際に、必ず感染予防の為に『手袋を履きかえる』。そうすることで、今から自分は先ほどとは別の傷病者を担当するのだから新たな気持ちで・・・と、新しい手袋に履き換えながら気持ちも入れ直すというのも一つのルーティーンです。ちょっとしたことですが、救急の現場で一刻を争う状況であるからこそ、冷静に初期対応できるよう気持ちの切り替えすることも重要です。医師・看護師・検査技師の方それぞれの自分の中のルーティーンを作っておくと、気持ちに余裕がある時もない時も変わらず、ルーティーンから始まる・・・。
そうすることで、どんな状況であっても冷静に対応できる自分を保てることになります。これも、普段からの意識と取り組みが必要ですね。
業種は違いますが、私が若い頃秘書室で仕事をしていた際は、何人もの来客が重なりお茶を出さないといけない上に電話がかかるという状況で、給湯室や廊下では目まぐるしく走りまわっていても、応接室に入室する際には、一つ大きな深呼吸してから、自分を落ち着かせて応接室のドアを開けていました。
(すごく忙しいのに、何もなかったような笑顔で・・・(笑)
または、女優さんが監督の合図でパッとスイッチいれて役になりきり、切り替える感じでしょうか…。これは、言い過ぎ(笑))
病院に足を運ぶ患者の方は、誰もが不安や緊張で硬くなっています。その気持ちを少しでも和らげる、まずは優しい表情を、医師・看護師・技師の方々がドアを開ける際に意識するだけで、患者の方の受け止め方や心待ちも変わります。一度ご自分のルーティーンを作って、実践してみてください。

3. チーム医療を活かして、患者対応につなげる

これは、「チーム医療」として、考えていくべきことですが…。たとえば、レントゲン室などの検査室の込み具合で技師が忙しすぎる状況の場合、各科が検査室の込み具合を把握するオペレーティングシステムが確立できれば、一番いいと思います。(医師の方は、検査をする前に検査が出来るかどうか検査室の空き具合を確認してから予約を入れますが…、外来受付は、それを理解せず流れ作業で、患者の方に検査室に行くよう誘導することが問題であると、私は考えます)検査室の前でいつまで待てばいいのか分からないことが、患者の方の気持ちをいらだたせます。
ですが、各科の外来受付の方で、例えば「本日は月曜日ですので、患者の方も多く、いまから行う検査もお待ちの方が多いと思います。ご了承ください。」と、予め検査前に外来で伝えていれば、患者は「しょうがない」と検査室の前の状況を理解することでしょう。各科の外来の受付担当者は、「では、検査ですので、何番の検査室の前でお待ちください」と、事務的に同じ言葉を繰り返すだけ・・・。なので、患者の方は、検査室にいけばすぐ検査できると思い、足を運びます。まずは、各科の外来受付での機転のきいた一言の追加と、検査室前が混み合ってきた場合は、検査技師の方が状況をみて、「今、皆様には何分ほどお待ち頂いております。」とお声かけしたり、「今何番の番号の方をお呼びしますので、次の方は何番目です。」と、何分ほど待たせるのかを伝える、何番目に呼ばれるのかを伝えるということで、患者の方の理解を促す言葉が必要不可欠といっていいでしょう。
『分からない』という状況が一番、怒りを伴います。
 検査室には、救急で搬送された患者の方を優先する場合もあります。そうなると、待っている方は、お待ち頂く時間も負担も増えます。患者の方も「大変な状況だから、しょうがない」と思いつつ「まだ待つの・・・」と、言えない気持ちが膨らみます。
このような場合には、必ず検査技師が「検査でお待ちの皆様、救急の対応にご協力頂き、誠にありがとうございました。それでは、順番にお呼び致します。」(←ある意味、これは患者の方に説明しながら、技師としての自分にも、気持ちのスイッチを入れ替えるきっかけになります)といった、協力に対するお礼を述べることを忘れないことが重要です。その後も、患者の方一人一人が入室する際に、「大変お待たせしました。」と再度重ねて述べることで、患者の方の気持ちも治まります。なぜなら、患者も救急搬送された患者も同じように、痛みや辛さがあるので、自分のことに置き換えられるからです。

いかがだったでしょうか?他にも、シチュエーションによって改善や意識することもありますが、
まずは、上記の3点を意識し取り組んで頂くことをおすすめします。
一度に行うというよりは、一つ一つクリアして、意識しなくても出来るようになったら、次のテクニックを行ってみるというスモールステップの積み重ねと達成感、そして何より患者の方の笑顔や反応を、モチベーションを高める原動力に換えて頂ければと思います。

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