現場マナー研修は、協力業者全体で取り組むべき
あいさつは、コミュニケーションの基本
これはどこの企業でもいわれることかもしれませんが、特に工事従事者は元気がある、明るく気持ちの良いあいさつを積極的に行うことが必要といえます。
なぜならば工事従事者にとって、近隣住民の方々に自分たちを知ってもらうチャンスも少なく、していることや人柄の良さを表現する方法が、あいさつといった手段以外にないからです。逆を言うならば、「あいさつ」でしか自分達のことを知ってもらうチャンスや手段がないのに、それらをみすみす放棄している工事従事者が多いと、現場に対する周囲の目や近隣住民の方のイメージは、厳しくなるといっていいでしょう。
近隣の方だけでなく、工事を依頼した施主の方が現場を訪問した際には、必ずいったん作業の手をとめて「あいさつ」をすることが大切です。施主の方は、現場の進み具合や施工の状況を見ているだけでなく、お願いした工事をどのような人たちが請け負っているのかも、ご覧になっています。
想像してみて下さい。もしみなさんが、自分の家を新築する時に現場を訪問した際、現場で忙しく作業しているとはいえ、工事関係者が挨拶もなく、無愛想な対応だったとしたら…。きっとその対応と印象の悪さに、「こちらの意向や指定した内容がきちんと伝わっているのだろうか…?」と、不安になることでしょう。一生の財産をお願いするわけですから、出来れば工事に携わる全ての担当者と、良好なコミュニケーションを取りたいと思うのは、施主として当然のことと言えます。「仕事熱心な人柄の良い人達が、この家を建ててくれた」そういった施主の気持ちに応えることが出来る、工事従事者でなければなりません。
「こんにちは」、「おはようございます」、だけでなく近隣の方なら「ご迷惑おかけしています!」と一言添えるだけで、印象も良くなります。
また、道路にやむをえなく運搬車両を停めたりした際も、「大丈夫ですか?通れますか?」や「失礼しました。すぐに移動させます。」といった、相手に配慮したお声かけが、現場周辺を通行する方や近隣の方に笑顔で対応出来れば、工事に対する印象さえも変わります。
あいさつは、自分を知ってもらえる最善の方法と考え、工事担当者全てが意識し取り組むべきことといえるでしょう。
周辺住民の方への配慮は、仕事をする上での責任
工事従事者の中には、「上から言われたことをしているだけ」といった、意識の甘さや認識不足の人も少なくありません。ですから、つい普段のなにげない言動にも、その気持ちが出てしまいます。近隣からの忠告や苦情をうけても、自分には関係ない・現場の監督に言われたから、しているだけ…という言葉や態度で受け応えすることで、より深刻なクレームに発展してしまうこともあります。現場監督者は工事従事者たちに対して、現場に携わる者としての立場をしっかりと植え付ける必要があります。
自分たちは、許可を頂いて敷地内に入り作業出来ていること、周辺住民のみなさまの理解の上で工事をさせてもらっているという意識が必要です。そういった意識がなければ、あいさつはおろか、周囲に対して自分の行動が及ぼす影響を理解することが出来ないでしょう。まずは工事従事者一人一人に、現場で仕事をする上でのマナーの意識を持たせることが大切です。
「工事をしているのだから、そっちが我々のやり方を理解するのが当たり前…」
ではなく、「工事をさせて頂いているのだから、ご協力お願いします。」という気持ちの有り方。自分の目の前の作業を遂行するだけが、仕事の責任を果たしたのではないということを、今一度考える時間や話し合う時間を設けることも監督者として大切です。
マナーというと、工事関係者からは、「必要ない」と声があがりそうですが…、
「マナー=人が人と良好な繋がりを持つ上での、最低限守るべき行い」です。
人として最低限身に付けていなければならないコミュニケーション手段であることを認識し、監督者自身が率先して取り組み、現場関係者全てに理解を促すことが求められます。