改正労働基準法。36協定で特別条項を締結する場合の留意点
働き方改革の2トップは、
「同一労働同一賃金」と「長時間労働の是正」。
年次有給休暇の5日取得義務については、
企業に与えるインパクトは大きいものの、
労働環境を大きく変えるまでにはなっていません。
上記の2トップ、特に「同一賃金同一労働」は、
労働環境を激変させると予想しています。
終身雇用、年功序列、企業別組合、といった現在ではほぼ崩れつつある日本型雇用が、
同一労働同一賃金が始まると一気に崩壊に突き進むでしょう。
それは、もともと日本型雇用が正社員メインでの仕組みだったからです。
男性正社員と主婦パートをメインとした非正規社員という構図はもはや成り立たなくなり、
非正規社員が労働者の4割を占めるまでになったにも関わらず、
企業は相変わらず雇用調整弁として非正規を利用してきたツケともいえます。
同一労働同一賃金がスタートすると、
正社員と非正規社員との間での、不合理な待遇差は違法となります。
企業には、待遇差がある場合にはその内容と理由の説明義務が課せられます。
この説明義務が今回の法改正で最も重要で、同一労働同一賃金を担保するものともいえます。
労働者がこの説明義務違反で訴える状況も考えられます。
正社員には支給しているけど、パートには支給していない手当はありませんか。
その理由はきちんと説明できますか。その理由に合理性はありますか。
大企業は来年4月、中小企業は再来年4月に施行が迫っています。
賃金だけでなく、その他の福利厚生についても見直す必要があります。
見直した上で賃金制度を変更する、そのための原資をどうするのか、
このようなことを検討する時間は今からでも短いかもしれません。
ただ、一番いけないのは、何もせず施行時期を迎えること。
何をしたらいいか分からない企業は、とりあえず
厚労省の同一労働同一賃金の特集ページを参照し、
その中の『パートタイム・有期雇用労働法対応のための取組手順書』のワークをやってください。
それでもどうやて進めたらよいか分からない場合は、
専門家である社会保険労務士に聞いてみることをお勧めします。