なぜ休職者の対応が後手後手になるのか。
改正労働基準法(以下、「法」とする。)では、
残業時間の限度時間が規定されました。
具体的には、
・月45時間、年間360時間
・1年以内の変形労働時間制の場合は、月42時間、年間320時間
そして、下記を満たす特別条項を締結すれば、
上記の限度時間を超える残業もOKとなります。
(ただし、こちらにも上限はあります)
「通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い
臨時的に第三項の限度時間を超えて労働させる必要がある場合」(法36条5項)
この「通常予見することのできない・・・必要がある場合」とは、
具体的にどういうことでしょうか。
従来まで特別条項に「予算決算業務」「ボーナス商戦に伴う業務繁忙」等と記載していた場合、
予算、決算、ボーナス商戦の時期は分かりますので、
通常予見することのできない業務ではないのでは、という疑問がありました。
そんな中、先般(平成30年12月28日)、
厚労省からこの点について解釈が公表されました。
それによると、
「通常予見することのできない・・・必要がある場合」とは、
① 全体として1年の半分を超えない一定の限られた時期であること
② 一時的・突発的に業務量が増える状況等によること
③ ①②を踏まえ、具体的にどのような場合を協定するかは
労使当事者が事業又は業務の態様等に即して自主的に協議すること
また、通常予見することのできない業務量の増加というのは、
「あくまで一例」として規定されたものだとしています。
よって、③の要件が非常に重要になってくると思われます。
労使間で、きちんと協議することで、
さきほどの「予算決算業務」「ボーナス商戦に伴う業務繁忙」等の理由が認められることになるからです。
施行後は、特別条項を提出する際に、
労使間で協議をきちんとしたのかどうかのチェックが労基署から入ることも予想されます。
36協定で残業時間の上限を超えて労働させる場合、特別条項を締結する必要がありますが、
その際には、どのような場合であるのかを具体的に労使間で協議すること、がこれまで以上に重要となってきます。