GLP-1アナログ製剤に待望の内服薬が登場
「血糖値が高い時だけ膵臓からのインスリン分泌を促し、血糖値が低いときはインスリンを出さないので、低血糖が起こらない内服薬」=「DPP-4阻害剤」を2019年9月20日の当コラムでご紹介させていただきました。(参考記事:インクレチンで血糖コントロール?)
このDPP-4阻害剤は、小腸から分泌されるホルモンであるインクレチンを増強させることで血糖値を下げたり、安定化させたりする働きがあります。
今回は、DPP-4阻害剤と同様にインクレチン関連薬である注射薬「GLP-1アナログ製剤」をご紹介します。
インクレチンには、GIPという小腸上部からでるホルモンと、GLP-1という小腸下部から出るホルモンの2種類が知られています。最近、GLP-1アナログ製剤というGLP-1の働きを増強する注射薬が注目されています。糖尿病治療薬で注射と言えばインスリン製剤を思い浮かべる方が多いと思いますが、実はインスリン以外にも注射薬があり、多くの方が使用されています。
GLP-1には、インスリン分泌を血糖に合わせて亢進させることで、低血糖を起こさずに血糖値を安定化させるという働き以外に、腸管の動きを抑制したり、満腹感をもたらしたりする作用があります。そのため、GLP-1アナログ製剤を用いると、低血糖を起こさずにインスリン分泌を増強するだけでなく、食欲を抑制させることで、体重減少効果も期待できるのです。実際に、平均2kgの体重抑制効果が報告されています。
さらに、一部のGLP-1アナログ製剤には心臓や腎臓を守る働きがあるとされ、実際に心血管イベントの発生を抑制したという研究結果も報告されています。
注射の手技もインスリン製剤と同様で簡単ですので、自宅でご自身で投与することができます。いくつかの種類があり、1日1回使用するタイプのビクトーザや、1週間に1回使用するタイプのトルリシティなどがよく利用されています。それぞれ特徴がありますので、興味がある方は外来受診時にお声がけください。