コラム
2型糖尿病の様な1型糖尿病って?
2018年5月7日 公開 / 2019年7月17日更新
今年は桜の季節があっという間に終わり、早くも新緑の季節になっています。「糖尿病内科かいせいクリニック」もあっという間に開院して1ヶ月が経ちました。
糖尿病の病態は個々の患者さんにより異なっています。同じ糖尿病であっても、内服薬の種類やインスリンの種類がそれぞれの患者さんで異なっているのも、それぞれの患者さんで病態が違っているからです。私たちは、その多様性を認識し、個々の患者さんの病態に合った治療法を提案していきます。
病態の多様性と言えば、2型糖尿病の様な1型糖尿病という病態があるのをご存じでしょうか。幾つか例をお示しします。
「45歳女性。数年前から健康診断にて高血糖を指摘され、内服薬が開始された。食事も注意しているし、運動も適度に実践しているのに、なかなか血糖値が下がらない。」
「59歳男性。35歳頃から糖尿病を指摘された。内服薬で治療していたが、45歳頃からインスリン治療となった。」
「38歳女性。今年の健康診断で初めて高血糖を指摘された。空腹時血糖132で、HbA1c 7.3%だった。家族に糖尿病の人はいない。5年前から体型も変わっていない。」
これらの症例は、2型糖尿病と診断されていることが多いのですが、実は「緩徐進行1型糖尿病」という1型糖尿病なのです。診断(発症)されてからしばらくの間はインスリン治療が必要ないのですが、徐々にインスリン分泌能が低下していき、3か月から長い場合は10年以上かけてインスリン治療が必要な状態になっていきます。診断には、採血にてGAD抗体を確認する必要があります。つまり、生活習慣病ではなく、自己免疫疾患である、ということが大きなポイントです。また、早期に緩徐進行1型糖尿病であることがわかっていれば、早期にインスリン治療を導入することで、将来の膵臓からのインスリン分泌能を守ることができるとも言われています。2型糖尿病として内服治療を受けている方で、思っている以上に血糖コントロールに難渋していらっしゃる方は実は緩徐進行1型糖尿病かもしれません。
さらに糖尿病にとって大切な多様性は、病態だけではありません。それぞれの患者さんが抱えている問題や社会的背景の多様性を把握していくことも重要です。糖尿病は一生付き合っていく病気ですので、私たち医療従事者はそれぞれの患者さんの「個」を大事にした療養やサポートを心掛けなければなりません。ゴールデンウィーク明けも、そんな多様性に対応できるクリニックを目指していきます。
勿論、ゴールデンウィーク明けの疲れによる体調不良などもお気軽にご相談ください。
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