昨日のコラム「労働基準監督官の逮捕権」が記事になりました。
朝日新聞の東京本社に労働基準監督署が、「労使協定の上限81時間を上回る85時間20分の残業をさせていたり、編集部門の上司が部下の残業時間を短くする書き換えを行っていた」として、是正勧告を行いました。
また、野村證券にも今年6月に労基署が是正勧告を出しています。こちらは投資などの花形部門で月100時間を超える残業をさせていたようです。
和民の新入社員の過労による自殺など長時間労働が大きな社会問題になったことから、平成27年4月に東京と大阪の労働局に労働基準監督官としてもベテランの精鋭を集めた「かとく」(過重労働撲滅特別対策班)が、新規に設置されました。この辺りから、大きく国としても長時間労働に対する取り締まりを強化してきました。ただ、今年からは、朝日新聞や野村證券と言った、いわゆる大手企業のホワイトカラーに対しても手を広げてきた感があります。もちろん、今までなおざりにされていたことも問題ではありますが、いよいよ本格的に長時間労働は許されなくなってきました。
長時間労働を前提とした働き方を強いる日本企業は、今後法律上からも淘汰されていくことでしょう。また、良い人材を採るためにも労働時間改革は待ったなしです。
中小企業においても、もちろん労働基準監督署の取り締まりは、強化されて行きます。今のうちから、対策をしっかり考えましょう。いずれにしろ、月80時間を超えるような残業体質は、許されなくなります。
それにしても、朝日新聞は、和民新入社員の自殺の際には、さんざんブラック企業とたたいておきながら自社の体質もブラックだった、というのはいかがなものかと思いました。